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2016 Fiscal Year Research-status Report

心腎連関における新規アペリン受容体リガンドの機能的意義の解明

Research Project

Project/Area Number 16K19013
Research InstitutionAkita University

Principal Investigator

佐藤 輝紀  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30733422)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
KeywordsELABELA / 心肥大 / 心保護効果
Outline of Annual Research Achievements

新規APJリガンド、ELABELA(ELA)の心腎連関における機能的意義を解明することを研究の主眼としている。まず、予備検討して行ったELAの心保護効果のメカニズムを解析した。野生型マウスにELAペプチド投与実験を行った。野生型マウスのベースラインにおいては心収縮能や心体重比に有意な変化を認めなかったが、横行大動脈縮窄術(TAC)による圧負荷モデルにおいては、Vehicle群に比較してELA投与群では有意に心肥大や線維化が抑制された。また、APJ KOマウスを用いて同様のTAC実験を行った結果、APJ KOマウスにおいては、ELAによる心保護効果を認めなかった。つまり、ELAはAPJ受容体依存的に心保護効果を発揮していることが分かった。ELAを投与したマウスの心臓において、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の発現が有意に抑制されていたことから、ACEあるいは ACE2のプロモーターのレポータープラスミドを発現させた培養細胞株を用いてレポーターアッセイを行ったところ、Apelinとは異なり、ELAは濃度依存性にACEの転写活性を抑制した。一方で、ACE2の転写活性への影響は小さかった。さらに、レニン-アンジオテンシン系とELA-APJ軸の相互作用を探索するため、アンジオテンシンII (Ang II)とELAの同時投与実験を行ったところ、Ang II投与にて誘導される心肥大や血圧の上昇は、ELAによって有意に抑制された。それらの心肥大抑制効果は単離心筋細胞レベルでも再現されていた。以上の結果から、ELAはACEを転写性に制御し、RAS系の亢進を抑制することで心保護効果を発揮することが明らかとなった。さらに、Apelinとは違ったシグナル経路でELAは心保護的に作用することが示唆された。上記の研究結果を、Caridiovascular Reseach誌に投稿、受理された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記研究実績概要にて述べた通り、ELAの心保護効果におけるメカニズムを研究論文としてまとめ報告することができたが、心腎連関におけるその意義は未だに解析ができていない状況であり、順調であると言い切れない理由である。今後研究を推進していく予定である。ELA全身ノックアウトマウスの交配を行い、実験が可能な状況が整っている。また、腎臓特異的ELAノックアウトマウスの作出のため、Aqp2(アクアポリン2)-Cre トランスジェニックマウスを購入しし、ELA floxマウスとのかけ合わせを行い、準備を進めている。また、腎不全モデルとしては腎臓虚血再灌流や、5/6腎摘出、あるいは尿管閉塞による腎不全モデルなどがあるが、それらのマウスモデルを樹立するためにも時間を要すると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

今後はELAの腎機能制御における役割にフォーカスし、マウスモデルを用いて解析を進めていく。
1)腎臓由来のELAの機能的意義の解明
ELA は成体においては腎臓に発現していることが分かっているが、その機能的な意義は未解明であり、ノックアウトマウスELA flox マウスとの交配で心臓、腎臓それぞれ臓器特異的遺伝子欠損マウスを作製中である。TAC をかけたあと、2 週間、4 週間、8 週間と心機能の推移や生存率を追跡し、野生型マウスとの違いを解析する。心不全発症が早い場合には、その時期にsacrifice とし、心臓、腎臓、肺、脳などの各臓器の表現型を解析する。また、RNA シーケンスを用いて、動物実験で得られたサンプルの遺伝子発現解析を行う。ELA 欠損マウスの心不全発症時に心臓、腎臓、血液などでどのような遺伝子発現が上昇するかを網羅的に解析することによって、ELA-APJ シグナルが制御する遺伝子ネットワークを同定することができる。
2)内因性のELAの心血管系に対する作用機構の解析
成体においては腎臓に高発現していることが分かっているため、腎由来のELA が心血管保護的に作用していることが予想できる。まずは負荷時に、腎臓からELA が血液中に分泌され、それが心臓に直接的に作用し、APJ を活性化することで心保護的に作用する可能性がある。負荷時と非負荷時の血液中のELA をELISA 法で測定する。さらにアペリン-APJ は圧負荷肥大心では発現が上昇していることが知られているため、ELA がアペリンの発現を誘導している可能性についても遺伝子発現解析やレポーターアッセイにより解析する。
上記について包括的な検討により、研究計画を達成する予定である。

Causes of Carryover

申請当初に予定していた国内旅費20万円がほぼ満額残ったことによる。論文のリバイス実験を中心に科学研究費を使用しており、学会発表に研究費用を費やしていなかったため、残額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

引き続き、研究費用として、実験キットの購入、実験動物の購入などの費用にあてる予定である。また、今回論文として受理された研究結果に関しては国内外の学会にて発表予定としており、その旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ELABELA - APJ axis protects from pressure overload heart failure and Angiotensin II-induced cardiac damage.2017

    • Author(s)
      Sato T, Sato C, Kadowaki A, Watanabe H, Ho L, Ishida J, Yamaguchi T, Kimura A, Fukamizu A, Penninger JM, Reversade B, Ito H, Imai Y, Kuba K
    • Journal Title

      Cardiovascular Research

      Volume: Epub Pages: Epub

    • DOI

      10.1093/cvr/cvx061.

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 心不全病態における新規APJリガンドELABELAの機能的意義の解明2016

    • Author(s)
      佐藤輝紀、山口智和、渡邊博之、門脇歩美、佐藤チトセ、伊藤宏、今井由美子、 久場敬司
    • Organizer
      循環薬理学会
    • Place of Presentation
      信州大学医学部附属病院 大会議室
    • Year and Date
      2016-12-02

URL: 

Published: 2018-01-16  

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