2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19016
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
平山 友里 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30732804)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アストロサイト / 虚血耐性 / Preconditioning / P2X7受容体 / HIF-1α |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血耐性とは、あらかじめ非侵襲的虚血(Preconditioning; PC)を経験しておくと、その後の侵襲的虚血に対する抵抗性が獲得される現象である。我々はこれまでに、PC後に活性化するアストロサイトが虚血耐性獲得に必須であること、その分子メカニズムとしてP2X7受容体/HIF-1α経路が関与していることを報告した。HIF-1α発現はPC後の神経細胞とアストロサイトで認められるが、なぜ神経細胞のHIF-1αではなく、アストロサイトのHIF-1αが虚血耐性獲得に関与するのか不明であった。今回、初代培養細胞を用いたin vitro実験と中大脳動脈閉塞(MCAO)モデルを用いたin vivo実験により、神経細胞とアストロサイトでHIF-1α発現メカニズムに違いがあること、これにより両者のHIF-1α上昇の時空間パターンに違いが生じ、よってアストロサイトHIF-1αのみが虚血耐性獲得に関与することを明らかにした。低酸素時、酸素依存的にHIF-1αを分解する酵素PHD2の阻害によりHIF-1αは蓄積し、複数の神経保護分子の産生が誘導されることが知られている。神経細胞はこのメカニズムを介してHIF-1αを発現亢進するのに対し、アストロサイトは殆どPHD2を発現していないために従来の経路は存在せず、その代わりにP2X7受容体依存的にHIF-1α発現を誘導した。MCAOモデルを用いたin vivo実験では、PCによって誘導される神経細胞HIF-1αの発現亢進は一過性であるのに対し、アストロサイトHIF-1α発現は遅発性であるが持続的であり、PC後少なくとも2週間は持続していた。従って、PHD2に制御される神経細胞の一過性HIF-1α上昇とは異なり、アストロサイトはP2X7受容体を介して持続的にHIF-1αを発現することで強力な神経保護効果をもたらし、虚血耐性を誘導することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アストロサイト性虚血耐性の分子メカニズムの一端を明らかにすることができており、本研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、アストロサイト性虚血耐性の分子メカニズム解析を行う。特に、PC後の活性化アストロサイトにおけるP2X7受容体の発現、活性化メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(4 results)