2016 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム内アミノ酸情報のmTORへの伝達を担う新因子の探索と機能的意義の解明
Project/Area Number |
16K19018
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥田 傑 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50511846)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | トランスポーター / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リソソームに局在するアミノ酸トランスポーターを介したmTOR (mechanistic target of rapamycin) 活性化機構の解明に向けて、リソソーム内アミノ酸感知に関与するセンサー因子の探索、およびその分子の機能解析を行うことである。mTORは様々な栄養や成長因子、酸化還元状態などの細胞内外の環境を感知して遺伝子の転写や翻訳を制御している。生体にとって重要な栄養素であるアミノ酸は、細胞内に取り込まれた後、さらにリソソームに局在するアミノ酸トランスポーターによってリソソーム内へと取り込まれ、リソソーム表層に局在するmTORを内部から活性化するとされているが、その活性化機構の詳細は明らかになっていない。平成28年度は、リソソームに局在するアミノ酸トランスポーターのうち、既にアミノ酸依存的なmTOR活性化への寄与が報告されている数種類のトランスポーターに着目し、研究を開始した。リソソームにおいて、これらのトランスポーターと相互作用する因子の探索を行う予定だが、これらのトランスポーターはリソソームのみではなく細胞膜にも局在する可能性があるため、まずは純度の高いリソソーム画分を調製する条件の検討を行った。密度勾配遠心法等によって細胞の分画を行い、リソソーム局在タンパク質に対する抗体を用いたイムノブロッティングで評価した結果、純度の高いリソソーム画分を単離する条件を決定した。また、この画分を用いたセルフリーの実験系でmTOR活性を測定し、この画分がmTOR活性を保持していることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、ほぼ当初の計画通りに研究が進んでいる。細胞の種類や状態によってリソソーム画分の単離条件が異なり、最適条件を見出すために時間を費やしたが、mTOR活性を保持した純度の高いリソソーム画分を単離することができた。このことで、アミノ酸依存的なmTOR活性化に寄与するリソソーム局在アミノ酸トランスポーターに着目して、その相互作用因子の探索を行う準備が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、28年度に確立した条件を用いてリソソームを単離し、アミノ酸依存的なmTOR活性化に寄与するリソソーム局在アミノ酸トランスポーターと相互作用する因子の同定を進めていく。また、様々な条件で実験を行うことで、アミノ酸依存的にmTORを活性化するために必要な因子を絞り込み、siRNAによる遺伝子ノックダウンや過剰発現が、アミノ酸依存的なmTOR活性化に及ぼす影響を観察することで、その因子を同定する予定である。また同定された因子の精製系の確立やその因子の機能解析に向けた実験系の確立も目指す。
|
Causes of Carryover |
物品購入の際にキャンペーンを上手く利用することで当初の計画より安価に購入することが出来たため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初使用しようと考えていたサーモシェーカーの状態が良くないので、新しいサーモシェーカーの購入に充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)