2016 Fiscal Year Research-status Report
ストレス性精神疾患における細胞内ムスカリンM1受容体の役割
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16K19023
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80509307)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アセチルコリン受容体 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
ムスカリンM1受容体は、中枢神経系において学習・記憶や情動などの神経精神機能の調節に深く関与していることが知られている。これまでM1受容体は神経細胞の細胞膜表面上に発現し、コリン作動性神経から遊離されたアセチルコリンの情報を細胞内に伝える役割を果たすと考えられてきた。しかし近年、大脳皮質や海馬ではM1受容体の約半数がゴルジ体・小胞体などの細胞内小器官内に存在しており、細胞内小器官内に取り込まれたアセチルコリンにより活性化されることが明らかにされた。この細胞内M1受容体は細胞膜表面上の受容体とは異なったシグナル伝達系を活性化する表現型の異なる受容体であり、神経精神機能の調節に重要な神経機構である海馬CA1におけるシナプス伝達長期増強(LTP)の促進に深く関与していることを明らかにしてきた。しかし、細胞内M1受容体によるLTP調節がどのような神経精神機能に関与しているかは不明なままである。脳内のM1受容体は恐怖学習や不安・抑うつなど情動に関与している報告が多く、情動は環境因子であるストレスにより強い影響を受けることから、本年度は実験動物に慢性ストレスを与えると細胞内M1受容体を介したLTP調節がどのような影響を受けるか検討した。その結果、ラットに慢性的に身体的ストレスを与えることにより細胞内M1受容体が減少すること、またストレスを与えた動物から摘出した海馬スライスにおいて細胞内M1受容体を介するLTP増強も消失することを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの研究計画をおおむね実施できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は必要ない。計画通り遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
一部実験の未着手部分があり、使用する試薬量が当初の計画より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本年度の未着手部分を次年度研究計画とともに実施する。したがって、次年度は繰越金も含めた全額を使用する予定である。
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