2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of mitochondrial respiratoty regulation mechanism and its failure in neurodegenerative disease
Project/Area Number |
16K19037
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村田 等 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (90579096)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | SARM1 / JNK / NAD / ミトコンドリア / リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア呼吸制御に関わるSARM1のリン酸化制御機構について解析を行った。SARM1は酸化ストレス剤でパーキンソン病様症状を誘発するロテノンやパラコート刺激でリン酸化をうけた。リン酸化酵素はJNKであり、SARM1のリン酸化部位はSer548であった。SARM1はNADを分解する酵素活性を有しており、SARM1の活性化はNADの分解を通じてATP産生を抑制した。SARM1のNAD分解活性はSer548のAla変異によって減弱した。パラコート投与パーキンソン病モデルマウスの中脳部位ではSARM1のリン酸化レベルが上昇しており、SARM1のリン酸化を介した活性化がパーキンソン病の病態形成に関与する可能性が示唆された。 SARM1が神経細胞の成熟に及ぼす影響を解析するために、iPS細胞(幹細胞)から神経幹細胞、神経細胞への分化過程でのSARM1の発現変化を解析した。SARM1の発現は幹細胞の段階では非常に低く、タンパク質レベルで検出できなかった。神経幹細胞、神経細胞への分化に伴いSARM1の発現は上昇していき、神経細胞では幹細胞と比較しておよそ30倍まで発現が増加した。健常者およびパーキンソン病患者由来の神経細胞でSARM1の発現レベルに差はなかったが、Ser548のリン酸化レベルはパーキンソン病患者由来の神経細胞で高かった。またロテノンやパラコート刺激に対してパーキンソン病患者由来の神経細胞は脆弱であり、細胞死の割合や軸索の分解が健常者由来の神経細胞よりも亢進していた。細胞死や軸索の分解はSARM1野生型の過剰発現で増加すること、Ser548のAla変異体の過剰発現やJNK阻害剤の添加によって抑制できることから、JNK-SARM1経路を標的とした薬剤を開発することによってパーキンソン病の病態を改善できる可能性があるので、今後更に検討を重ねていく。
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