2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K19042
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
阿部 高也 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (10720609)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞系譜解析 / 心臓発生 / 心臓前駆細胞 / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では心臓前駆細胞の一つである心外膜前駆細胞の細胞系譜を網羅的に解析し、その由来となる細胞集団の解明を目指している。そのためゲノム編集技術(ここではgRNAがゲノム配列を認識しCas9により変異を挿入する)によりゲノムへ変異を引き起こし、その変異の違いにより個々の細胞を識別するIDとして細胞を標識する細胞系譜解析法を考案した。本研究計画ではIDとなる標的配列の選別を予定していたが、本科研費採択後にゼブラフィシュによる同様な手法を用いた報告がなされたので、その報告を参考にして遺伝子改変マウスを作製することとした。本研究では時期特異的に変異を挿入させる必要があるため、誘導的に変異を引き起こすことがポイントとなった。実際には変異のバリエーションを増やすため10種類のgRNAを利用することとした。そのため10種のgRNAを並べて発現させることのできるDNAの構築を行い、培養細胞を用いてgRNAの発現および変異挿入の活性を検討したところgRNAの産出効率が予測していたより低い可能性が示唆されたが、in vivoで確認しなければ判断は難しいと考えた。そのため予備の方法としてCas9を誘導的に発現させgRNAは恒常的に発現させる逆の方法も平行して進めた。さらに、ES細胞を用いたgene targetingで遺伝子改変マウスを作製する予定であったが、一部のマウスはより迅速に作製が可能な受精卵でCRISPR/Cas9を利用して作製する方法を試みた。それによりCas9を発現するマウスの樹立に成功した。今後は、この受精卵での方法によりマウスの樹立を進める。一方で、gRNAを恒常的に発現させる系統は受精卵での方法が使えないためgene targetingによる作製を進める。今年度前期にはマウスの樹立を完了し、後期には解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、IDとなるgRNA標的配列の選別を行う予定であったが、同様な手法がゼブラフィッシュで報告されたため、それを参考にすることができた。一方で、細胞標識を誘導的な方法へ改変する必要がり、10種類のgRNAあるいはCas9を誘導的に発現させる系の構築し、遺伝子改変マウスの作製を進めた。そのため初年度は遺伝子改変マウス作製に必要なプラスミドDNAの構築が主な内容となった。しかし、これらのDNAは繰り返し配列が多いことやそれぞれのDNAサイズが大きくDNAプラスミドの作製が難しい状況となっているが、プラスミド構築は最終段階まで進むことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
作製中の遺伝子改変マウス樹立に必要なプラスミドDNAを完成させ、ES細胞でのgene targetingと受精卵でCRISPR/Cas9を利用した方法で必要なマウス系統を樹立する。樹立したマウスを用いて心臓前駆細胞が派生する時期にゲノムへ変異を引き起こし、次世代シークエンスによる細胞系譜解析を目指す。
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Causes of Carryover |
学会参加の旅費が予定したより出費が少なかった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費へ使用を予定している
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