2016 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア由来小胞の形成と神経変性疾患の関係性
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16K19047
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
田中 敦 山形大学, 医学部, 准教授 (60404000)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 鉄代謝 / ミトコンドリア由来小胞 / 神経変性疾患 / オルガネラ接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞生存に必須な機能を有するミトコンドリアには、細胞内で利用される鉄の多くが適切に運ばれ、代謝に用いられている。これまでに細胞内への鉄取り込み、輸送、ミトコンドリアでの利用などについて多くの知見が報告されているが、それらと疾患との関わりについては未解明な部分が多く残されている。 本研究では、ミトコンドリアがストレスに応答する際に示す反応(ストレス応答)のひとつとして新たに見出した、ミトコンドリア由来小胞の形成と神経変性疾患との関わりについて検討する。特に、細胞内鉄の動態(取り込み・排出・輸送・利用)とミトコンドリア小胞形成の意義、疾患発症メカニズムにおけるミトコンドリア小胞の意義について検討すべく、計画初年度においてはストレス応答時のミトコンドリアの変化について、ダイナミクス(形態変化)、構造(小胞構成成分)、オミクス(プロテオミクス、トランスクリプトーム)解析を遂行した。結果、鉄代謝異常に応答するミトコンドリア小胞形成は、短時間に一過性に起きるもので、かつその構成成分には、通常のミトコンドリア構成とは異なる、ある特異的なミトコンドリア膜成分と内包物を含むことを明らかとした。さらに、鉄代謝ストレス応答性ミトコンドリア小胞には、その形成ステップとして他のオルガネラのミトコンドリア外膜への接触が必要である可能性を見出しており、今後ミトコンドリアに限らないオルガネラ接触の生理的意義について解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画として提示していたミトコンドリア小胞の形成とその構成的特徴について順調に解析が進んだ。オミクス解析については特に、研究代表者所属機関の共有システムを有効に活用し、その解析において多種の検討を進めることが可能であった。また、海外共同研究者の協力により、自機関だけでは遂行できなかった部分について、より詳細な検討を進めることができた。これらにより、計画において新規のメカニズム、オルガネラの接触を見出すことができた。 これら研究進捗は、次年度へのより大規模かつ詳細な検討へ進むことを可能にしたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目の研究計画として提示している、ミトコンドリア小胞形成メカニズムの解明として、小胞のより詳細な精製プロトコルを確立する。特に小胞のみを高純度に精製することで、様々なミトコンドリアストレス応答性小胞の検討を可能にする。
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Research Products
(14 results)