2016 Fiscal Year Research-status Report
Helicobacter pylori induces somatic mutations in TP53 via overexpression of CHAC1 in infected gastric epithelial cells
Project/Area Number |
16K19077
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 崇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20516314)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CHAC1 / 小胞体ストレス / アポトーシス / 消化器癌 / 新規診断マーカー / 予後不良予測因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は新たに当研究室で作成した2種類のCHAC1抗体を使用し、サンドイッチELISA法によるCHAC1の定量系を確立させた。次に、本抗体を用い全身諸臓器のパラフィン切片に対し、免疫組織化学を施行し、ヒトにおけるCHAC1発現の局在および、正常部および癌部におけるCHAC1発現の解析をおこなった。まず、正常部において顕著な発現が認められたのは、胃組織の胃底腺細胞、肝臓の肝細胞、腎臓の尿細管細胞、膀胱のアンブレラ細胞であった。いずれの細胞においても細胞質に顆粒状の陽性が、認められた。癌部においては消化管癌(食道癌、胃癌、大腸癌)において癌部におけるCHAC1の発現が顕著に上昇しており、特に大腸癌では100症例中95症例にて発現の上昇を認めた。そこで、ステージ1-3の大腸癌100症例をCHAC1高発現群と低発現群の2群に分け、臨床病理学的因子とCHAC1発現との関連性をχ二乗検定にて解析したところ、年齢・部位・PNIと有意に相関することがわかった(p=0.015, <0.001, 0.043)。またカプラン・マイヤー生存曲線を作成したところ、CHAC1高発現群ではsurvival ratioが有意に低いことがわかった(Log-rank test, p=0.0268)。さらに単変量解析にて予後不良予測因子として抽出された組織型・リンパ節転移・PNI・CHAC1発現の4因子を用い、多変量解析を行った結果、CHAC1高発現が独立した予後不良予測因子であることがわかった(p=0.010)。本解析結果については年度初頭に学会発表予定であり、また現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室で作成したCHAC1抗体を用いた全身諸臓器(食道,胃、大腸,肝臓,胆嚢,膵臓,肺,腎臓,膀胱, 前立腺,子宮,卵巣, 乳腺)の病理組織学的解析では、目標としていた症例数に達し、解析が終了した。大腸癌については症例数を増やし、臨床病理学的因子との関連も検索しており、これらの結果については現在論文を執筆であり、次年度内での投稿を予定している。また、今年度後半では、サンドイッチELISAを用いたCHAC1タンパクの定量系について、様々な培養細胞を用い、In vitroの系においてもこの定量系を用いることで、CHAC1量を測定することができることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はCHAC1発現の病理組織学的解析の結果について論文投稿を予定している。また、関連学会における口頭発表を予定している。さらに次年度は胃癌症例について症例数をさらに増やし、大腸癌と同様にCHAC1発現と臨床病理学的因子との関連について検索を行い、CHAC1の高発現が胃癌においても予後不良予測因子となりうるかを解析する予定である。 また、培養細胞を用いた実験とし、ERストレス応答に対するCHAC1発現の上昇、またその後のアポトーシス誘導について検討を行い、アポトーシス誘導までのカスケードについて詳細な検討を行う予定である。また、本研究内容についても次年度内の論文投稿を予定している。
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