2017 Fiscal Year Annual Research Report
Clinicopathological and genetic studies of intraductal papillary neoplasms of bile duct
Project/Area Number |
16K19081
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤倉 航平 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (50773751)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | IPNB / 遺伝子変異 / 胆管内乳頭状腫瘍 / 胆管癌 / エクソーム解析 / 病理診断 / 予後 / 免疫形質 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】IPNBは胆管癌より予後の良い胆管上皮性腫瘍であり、膵IPMNの胆管カウンターパートとして提唱された疾患概念である。膵IPMNと同様に、IPNBは腺癌とは異なる予後をたどるため、臨床的に区別する意義があるが、胆管癌から明確に独立した疾患であるかについては決着がついていなかった。代表者らは、IPNBの臨床病理学的および遺伝学的解析を行い、胆管癌と比較した。 【方法・結果】外科的切除された胆道腫瘍165症例をレビューした結果、IPNBは全胆道腫瘍の5%に見られた。粘液形質とサイトケラチンの発現パターンをクラスター分析した結果、IPNBは胆管癌とは異なるクラスターに大別された。また、IPNBの予後は胆管癌と比較して良好であった。これらの結果から、IPNBは胆管癌とは異なる臨床病理学的特徴を有すると考えられた (Fujikura et al. Histopathology, 2016)。続いてIPNB のエクソーム解析と病理診断の基盤構築を行った。既知の胆道腫瘍では稀なCTNNB1とAPCの遺伝子変異がIPNBでは43%と高頻度で蓄積しており、免疫染色の結果、β-cateninが細胞質あるいは核内に集積していることが明らかとなった。以上の結果から、IPNBは胆管癌とは臨床病理学的、遺伝学的に独立した腫瘍の一群であると結論付けた (Fujikura et al. Mod Pathol, 2018)。 【特色・独創的な点】IPNBは欧米では発症頻度が低いために、十分な研究が行われていなかったが、アジア圏では頻度が高い疾患である。我々はこの地理的優位性を活用し、研究に必要な症例数を確保し、臨床像、形態像、更には遺伝子変異まで詳細に解析した。代表者らの研究から、IPNBが独立した腫瘍の一群であり、胆管癌とは臨床的にも遺伝学的にも異なることを初めて明らかにした点は本研究の大きな特色である。
|