2016 Fiscal Year Research-status Report
がん産生ケモカインリガンドを起点とした肺癌の生物学的特性の解明
Project/Area Number |
16K19086
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梅田 茂明 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30644439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケモカイン / サイトカイン / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究室では、これまでに変異型KRAS 遺伝子を不死化気道上皮細胞に導入したin vitro 実験モデルのマイクロアレイ解析からがん遺伝子によって発現誘導された分子を抽出し、それら分子の肺癌における発生や進展に関わる機序を報告してきた。 不死化気道上皮細胞に変異型KRAS遺伝子および変異型EGFR遺伝子を導入することによって、共通に発現亢進のあった分子(CCL3, IL1B, IL-24, MMP1, MMP3)で、サイトカイン分子の中からIL-24に着目し研究をまとめた。不死化気道上皮細胞株に変異型KRAS遺伝子および変異型EGFR遺伝子を導入するとIL-24の発現上昇を認めた。肺腺癌や小細胞癌の肺がん細胞株では発現の低下や消失を認めた。幾つかの肺がん細胞株ではトリコスタチンやアザシチジン処理によりIL-24mRNA発現の上昇を認めた。A549細胞株やPC9細胞株にレトロウィルスを用いて遺伝子導入すると遊走能の有意な抑制を認めた。EGFPタグを用いた過剰発現では、IL-24は気道上皮細胞の細胞質に顆粒状に陽性となることを発見した。肺癌切除検体を用いたIL-24の発現解析では、浸潤パターン優位の肺腺癌で発現の有意な低下を認めた。また、進行期の肺腺癌で発現の有意な低下が見られた。これらの結果よりIL-24が肺腺癌においては、初期ではがん遺伝子により発現が誘導され浸潤を抑制し、後期では進行に伴って消失していく可能性が示唆された。 変異型KRAS遺伝子によって誘導される分子の中の解析で、CXCL7高発現の肺腺癌では予後が良い傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のCXCL7については、対象症例の追加、選定に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
CXCL7の発現と予後との関係について検討していく。
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Causes of Carryover |
肺腺癌におけるCXCL7の発現解析をさらに拡大して検討する予定であるが、研究対象症例の選定に時間がかかっていて、免疫染色やFISHを施行する予定だった研究が遂行できず、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
IL-24の解析で得られた知見を基に、研究対象例を再検討する。CXCL7とCXCR2のリガンドとレセプターの発現関係を明らかにするために免疫染色で二重染色を施行していく。また、CXCL7の強発現のある症例については、自作のFISHプローブを用いて、遺伝子増幅の有無を評価していく。物品費として、免疫染色の抗体、FISHプローブ作製費を計上する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] The Role of IL-24 in Lung Adenocarcinoma2017
Author(s)
Shigeaki Umeda, Koji Okudela, Yoko Tateishi, Mai Matsumura, Kenichi Ohashi
Organizer
2017 United States & Canadian Academy of Pathology Annual Meeting
Place of Presentation
Henry B. Gonzalez Convention Center (San Antonio, TX, the United States of America)
Year and Date
2017-03-04 – 2017-03-10
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