2016 Fiscal Year Research-status Report
悪性唾液腺腫瘍におけるTrkB, BDNFの発現と機能の解析
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16K19089
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
近藤 裕介 東海大学, 医学部, 助教 (70610070)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TrkB / salivary duct carcinoma |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はSalivary dcut carcinoma(SDC)のTyrosine kinase receptor B(TrkB)とそのリガンドであるBrain-derived neurotrophic factor(BDNF)の発現の解析を免疫組織化学(IHC)を用いて解析した。 TrkBの評価法は、ポジティブコントロール(神経細胞)の染色強度を3+、神経細胞よりもやや弱い染色を2+、わずかに染色されるものを1+、染色されないものを0とした。症例ごと各スコアの占める面積(%)を評価し、2+以上のスコアを占める割合が10%以上のものを陽性、10%未満を陰性とした。その結果、20例中10例が陽性となり、残り10例が陰性となった。また、pT1-3群とpT4a,b群を比較した場合、後者の方がTrkB陽性症例が有意に多いことが明らかとなった(p=0.010)。また、TwoStepクラスタ解析において、TrkB、T因子、N因子、M因子で解析したところ、TrkBの結果を最重要項目として2つのグループに分類することが可能であった。染色パターンはほとんどの症例でheterogeneityがあった。脈管侵襲、神経周囲侵襲を伴う癌巣には特異的な染色態度は明らかではなかった。 BDNFは全例陰性となり、BDNFの発現は確認できなかった。 また、予備実験の段階ではあるがBDNFと同様にTrkBのリガンドであるNeurotrophin-4(NT-4)のIHCも行った。その結果、NT-4陽性症例も数例認められ、SDCにおいてNT-4の発現の可能性が想定できる。また、TrkBのリン酸化も予備実験の段階ではあるが、陽性症例が認められ、リン酸化の可能性も想定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pT因子において、TrkB発現が有意に高い(p=0.01)という結果が得られ、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降はパラフィン包埋ブロックからRNAを抽出し、遺伝子レベルでバリアントを含めたTrkBの発現を解析する。
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Causes of Carryover |
免疫組織化学を用いたBDNFの解析で、多種類のクローンを用いて検討を行う予定であったが、2種類目の抗体で、ポジティブコントロールの調整が完了し、免疫組織化学におけるBDNF解析が終了したため、その分の予算が差額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は主にTrkBの遺伝子発現の検討を行う。具体的にはパラフィン包埋ブロックからのRNA抽出及びRT-PCRによるバリアントを含めたTrkBの遺伝子発現の解析を行う。従って、平成28年度の差額分も含め、これらの試薬購入に充てる。
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