2016 Fiscal Year Research-status Report
短鎖脂肪酸によるIL-5産生グループ2自然リンパ球の制御機構の解明と治療応用
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16K19111
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
工藤 藤美 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (30726419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グループ2自然リンパ球 / IL-5 / 短鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
SAGE法による遺伝子発現解析からグループ2 自然リンパ球(ILC2)に短鎖脂肪酸受容体(GPR43)が発現していることを見出した。アレルギー性炎症の病態形成に重要な役割を担うILC2において、炎症誘導時のIL-5 産生に短鎖脂肪酸が及ぼす影響を解析し、アレルギー性疾患の治療応用への基盤確立を目的として検討を進めた。 ILC2におけるIL-5産生を解析するため、申請者らのグループが開発したIL-5産生細胞を蛍光タンパク質VenusでモニターできるIL-5/Venusマウスを用いて、短鎖脂肪酸による影響について検討を行った。純化した肺由来ILC2及び肺組織から分離した細胞と、各種短鎖脂肪酸を培養しILC2におけるIL-5産生を解析した結果、酪酸及びヒストン脱アセチル化酵素阻害剤のトリコスタチンA添加においてIL-5産生ILC2の数が減少した。一方、マウスの腹腔内に酪酸他、各種短鎖脂肪酸とIL-33を投与後、肺及び脂肪のILC2におけるIL-5産生を解析したところ、ILC2におけるIL-5産生の抑制は認められなかった。また、高繊維食を与えて大腸での短鎖脂肪酸生成を増加させた後、IL-33を腹腔内投与したマウスにおいても、肺及び脂肪のILC2におけるIL-5産生への影響は確認できなかった。以上の結果から、培養実験では短鎖脂肪酸によるILC2のIL-5産生抑制が見られたが、生体内に短鎖脂肪酸を投与した条件では何らかの因子によりIL-5産生が抑制されないことがわかった。 ILC2の制御に関して、新たに喘息を誘導したマウス肺におけるILC2のIL-5産生が、免疫抑制剤であるシクロスポリン投与により抑制されることを見出している。次年度はシクロスポリンによるILC2のIL-5産生制御について解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は当初の研究計画通り、定常状態と炎症状態での短鎖脂肪酸による肺及び脂肪由来ILC2のIL-5産生に及ぼす影響に関する解析を終えることができた。In vitroではある種の短鎖脂肪酸存在下にILC2の活性化が抑制されるものの、短鎖脂肪酸の腹腔内投与、高繊維食による肺及び脂肪のIL-33刺激後ILC2におけるIL-5産生の抑制は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoで短鎖脂肪酸がILC2の活性化制御に関わる可能性は極めて少ないと考えられる。免疫抑制剤の効果を検討する中で、シクロスポリンにより喘息モデルマウスの肺由来ILC2のIL-5産生が抑制されることを新たに見出した。この作用機序及び分子機構について検討を進める。
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