2016 Fiscal Year Research-status Report
節足動物媒介性感染症の新たな制御方法の確立に向けた細胞内寄生細菌の解析
Project/Area Number |
16K19112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
邱 永晋 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 博士研究員 (00760985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アフリカ / マダニ / 細胞内寄生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
節足動物は病原体の他にも様々な微生物を保有し、節足動物-共生細菌-病原体の三者は互いに影響を及ぼしながら存在している。この相互関係の理解には、「どの節足動物」が「どのような種類の微生物を保有」し、その微生物が「どのような機能を有するのか」を知る必要がある。本研究では、特に節足動物媒介性感染症の被害が深刻なアフリカ地域を対象とし、所属研究機関のザンビア海外拠点を中核に近隣アフリカ諸国の吸血性節足動物の収集を行う。そして、吸血性節足動物が保有する細菌叢を特定すると共に、新規病原性細菌の検出を行う。次に、保有細菌が節足動物宿主の免疫・代謝に関わる役割を特定する。これらを基に、節足動物-共生細菌-病原体の三者の相互関係に着目した感染症の新しい制御・予防方法の確立に向けた情報基盤を構築する。 今年度は、ザンビア国内7つの州にて5属にわたるマダニ約2000個体を植生上ならびに野生・家畜・伴侶動物から採集し、乳剤の作製および核酸の抽出を行った。次世代シーケンサーを利用した保有細菌叢の解析を実施するために約200検体を日本に輸送した。一時帰国の際にMiSeqを用いた保有細菌叢の解析を実施したが、試薬カートリッジの不具合によりデータを得ることができなかった。 日本からマウス線維芽細胞由来のL929細胞株ならびに蚊由来のC6/36細胞株を輸入した。C/36細胞株は維持することができなかったが、L929細胞株は順調に増殖し、細胞内共生細菌の分離に向けた準備が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの採集に関しては順調に進んでいる。ただし、試薬カートリッジの不具合により次世代シーケンサーを利用した保有細菌叢の解析による新規病原体ならびに細胞内寄生細菌の検出が進んでいない。代わりに海外研究拠点で実施できるPCRとシーケンス手法により細胞内寄生細菌のRickettsia属細菌をターゲットとし検出し、細胞内寄生細菌を保有するマダニサンプルの当りを付けた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、吸血性節足動物の採集をザンビア国にて引き続き行う。核酸を抽出したサンプルに関し順次日本への輸送手続きを行う。また、次世代シーケンサーによる保有細菌叢の解析を行い、新規病原体ならびに細胞内寄生細菌の検出を実施する。細菌叢解析の結果からL929細胞等の培養細胞を利用した細胞内寄生細菌の分離・培養を行う。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーを利用した解析を実施したが、試薬カートリッジの不具合によりデータを得られなかった。原因を究明するために時間を取られたため、当初予定していた回数の次世代シーケンサ―による解析を実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
初年度に行う予定であった回数の次世代シーケンサーによる解析に使用する。
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