2016 Fiscal Year Research-status Report
深在性フザリウム症の原因菌と環境浮遊真菌叢との関連性の解明
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16K19120
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村長 保憲 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (10574668)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Fusarium / 病原真菌 / 環境調査 / FSSC |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトのフザリウム症は、主に免疫抑制状態の患者に発症する深在性フザリウム症と健常人にも発症する表在性フザリウム症(角膜感染、爪感染など)に大きく分類されるが、これらの病型と原因菌種との関連性は十分検討されていない。また、深在性フザリウム症の感染経路は空気中に浮遊している胞子を吸入することによる経気道感染であると考えられているが、我々が実施した先行調査では種々のFusarium属菌が空気中から分離されてくるにも関わらず深在性フザリウム症の主な原因菌であるFusarium solani species complex (FSSC) の分離頻度が低いことを見出している。そこで本研究では本邦におけるフザリウム症の原因菌種と病型の関連性を解明するとともに環境中の浮遊真菌叢と原因菌種の関連性を解明することを目的とした。 本年度は、全国の医療機関で分離され千葉大学真菌医学研究センターに寄託保存されているフザリウム症臨床分離株(73株)について臨床情報をもとに深在性フザリウム症分離株と表在性フザリウム症分離株に分類し、Elongation factor-1α(EF-1α)遺伝子およびリボゾームRNA遺伝子ITS領域の塩基配列相同性解析により菌種同定を行った。その結果、両病型ともに原因菌の7割程度がFSSCであることを明らかにした。さらにFSSCの分子系統解析を行った結果、病型により原因菌種の分布が異なり、その中でもFusarium petroliphilumが深在性フザリウム症からのみ分離されてくることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題では本邦におけるフザリウム症の原因菌種と病型の関連性を解明するとともに、原因菌種と環境中の浮遊真菌叢との関連性を解明することを目的としている。平成28年度の研究実施計画では当センターに寄託保存されているフザリウム症臨床分離株の詳細な菌種同定と空気中浮遊真菌の捕集方法および遺伝子抽出方法の確立を予定しており、おおむね当初の研究計画を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
エアーサンプラーを用いて空気中の浮遊真菌を捕集し、本年度に確立した手技を用いてこれらのサンプルから遺伝子を抽出する。そしてFusarium属菌特異的リアルタイムPCRおよび次世代シークエンサーによるメタゲノム解析により空気中に浮遊しているFusaiurm属菌の分布を明らかにする。さらに本年度に解析したフザリウム症臨床分離株のデータと比較解析する。
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Research Products
(2 results)