2016 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌CagAによる細胞内シグナル撹乱を抑制する分子標的阻害剤の探索
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16K19121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 剛瑠 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10722209)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃がん / ピロリ菌 / 阻害剤探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクター・ピロリが有するがんタンパク質CagAによるチロシンホスファターゼSHP2の異常活性亢進を特異的に阻害する低分子化合物探索のため、CagA-SHP2相互作用を試験管内でハイスループットに検出する実験系を構築した。直接的なCagA-SHP2結合実験として、Amplified luminescence proximity homogeneous assay (Alpha)を採用した検出系を構築した。またCagA-SHP2複合体形成の結果誘導されるSHP2活性亢進を検出するため、低分子基質pNPPを用いた比色定量による酵素活性の検出系を構築した。CagA-SHP2相互作用はCagAのチロシンリン酸化に依存することから、本アッセイ系でもCagAのチロシンリン酸化特異的に相互作用シグナルを検出できることを確認した。ハイスループットスクリーニングではZ’値が0.5を越えることが良好なアッセイ系である指標となるが、両アッセイともに384ウェルマイクロプレート上でZ’値>0.8となる安定な実験系を構築した。これらのアッセイ系においてそれぞれ化合物ライブラリーを用いた阻害剤スクリーニングを行い、現在までに複数の候補化合物を得ている。さらに偽陽性除去等を目的とした2次スクリーニングのため別法の試験管内結合実験系の構築を目指し、組換えタンパク質を用いたGSTプルダウン法によるCagA-SHP2相互作用の検出系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度は、当初の計画に加えてAlpha法を用いた実験系を構築し、結合アッセイならびに酵素学的アッセイの2つの異なるハイスループットスクリーニング系を構築することができており、より信頼性の高いアッセイ環境が整っている。また化合物ライブラリーを用いた阻害剤探索を行った結果現在までに数十の候補化合物を得ており、おおむね順調に研究は進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度はまず現在有している候補化合物について再現性ならびに濃度依存性の確認を行う。さらに実験系に依存した偽陽性を除去するため複数のアッセイ系を通して真のヒット化合物を探索していく。具体的にはGSTプルダウン法を用いた結合阻害実験、表面プラズモン共鳴法を用いた化合物-標的タンパク質間の親和性試験を行う。これらの試験を通して選抜した化合物については培養細胞レベルにおけるCagAの生物活性を阻害できるか否かを検討していく。本研究の性質上、化合物選抜の結果ヒット化合物が全く得られない場合も想定されることから、より大規模あるいは焦点の絞られた化合物ライブラリーを用いたスクリーニングの試行を検討し、随時異なるライブラリーの利用を考慮しながら研究を進める。
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Research Products
(4 results)