2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K19125
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新澤 直明 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10583015)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細菌 / 類鼻疽 / 顧みられない熱帯病 |
Outline of Annual Research Achievements |
類鼻疽は、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)の感染によって引き起こされる細菌性感染症である。深刻な全身性症状を伴い、致死率も非常に高いが、その発症機構は不明である。申請者らは、類鼻疽菌のマウス感染モデルを構築し、マウス感染実験を繰り返した結果、類鼻疽菌は宿主感染時に宿主組織への強い侵襲性を示すことを見出した。そこで、本研究は、トランスポゾン変異導入と大規模シークエンス解析を組み合わせたTn-seq解析によって類鼻疽菌の侵襲性を制御する細菌側因子の同定を目的とした。 本年度は、類鼻疽菌のトランスポゾン変異導入系の構築とTn-seq解析を行った。まず、類鼻疽菌へのMarinerトランスポゾン導入のためのプラスミドpMariKを作製し、類鼻疽菌への高効率なトランスポゾン導入系の構築に成功した。pMariKを用いて作製したトランスポゾンライブラリーを用いて、Tn-seq解析を行った。感染前のトランスポゾンライブラリーのゲノムDNAと感染組織抽出物から回収されたライブラリーのゲノムDNAに含まれるトランスポゾン挿入位置を網羅的に含むDNAを増幅し、次世代シーケンサー(イルミナ社Hi-Seq)による大規模シークエンス解析を行った。感染後に検出量が減少したトランスポゾン挿入領域をマウス組織への侵襲性に関わる遺伝子領域として同定した。この中には、既に感染性に関わることが報告される莢膜合成遺伝子の領域が含まれたことから、本研究で行ったTn-seq解析は妥当であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の重要事項であったトランスポゾン導入系の確立に成功し、Tn-seq解析まで順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、Tn-seq解析を複数回続けるとともに、本年度の解析によって得られた組織侵襲性に関わる候補遺伝子(4遺伝子)の欠損変異体を作製し、マウス感染性への影響を検討する。また、それら計画と並行して、自殺型ベクターを用いた類鼻疽菌の任意遺伝子の組換え系の確立も目指す。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、動物感染実験を多数回繰り返し、条件検討を行う予定であったが、予想よりも早くに実験条件を決定することができた。また、購入予定であった機器(ホモジェナイザー)は代替品を使用したため、本年度は購入しなかった。そのために、動物購入費と備品費が抑えられ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究で行う大規模シークエンス解析は使用する試薬が高額であるために、当初計画では1回あるいは2回の解析を予定していたが、次年度使用額も含めることで、当初計画よりも多くの回数の大規模シークエンス解析を行う。
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Research Products
(2 results)