2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of Pseudomonas aeruginosa through intestinal epithelial cells layer
Project/Area Number |
16K19129
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
林 直樹 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (70707463)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緑膿菌 / トランスロケーション / ムチン層透過 / 多機能性糖脂質 / べん毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床上重要なグラム陰性の日和見感染症起因菌であるPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は、ムチンで覆われた上皮細胞層からなる粘膜上皮を越え(トランスロケーション)、重篤な血液感染症を引き起こすことがある。近年、薬剤耐性菌が世界的に増加しているが、この30年間、新たなタイプの抗菌薬開発は進んでおらず、薬剤耐性菌に対する新たな治療戦略が国際的に求められている。本研究では、宿主環境に応じた細菌の感染メカニズムに基づく新たな予防および治療法考案のためのターゲットバリデーションを目的に、緑膿菌の腸管腔からのトランスロケーション機構を解析した。これまでに我々は、緑膿菌トランスロケーションの過程を、1)上皮細胞の感知、2)上皮細胞への接近、3)上皮細胞への付着、4)上皮細胞層透過経路の形成、5)上皮細胞間隙の透過に分け、研究を進めてきた。最終年度は、緑膿菌トランスロケーションにおける阻害剤の探索にターゲットを絞り、緑膿菌によるムチン層透過に対する多機能性糖脂質の影響を検討した。その成果として多機能性糖脂質は、(1)緑膿菌の増殖速度に有意な影響を与えることなく、本菌によるムチン層透過菌数を65%減少させること、(2)緑膿菌のプロテアーゼ活性に有意な影響を与えることなく、べん毛依存性のswimming運動を62%減少させること、(3)緑膿菌のべん毛構築に影響を与えるこなく、ケモタキシスシグナル伝達cheR1、cheW、およびcheZ遺伝子の発現量をそれぞれ48%。42%、および46%減少させることを見出した。近年、緑膿菌のべん毛は、ワクチンや抗感染症薬のターゲットとして注目されており、ヒトでの臨床研究を含めて多くの研究が進行している。本研究成果は多機能性糖脂質が新たな感染症予防および治療に応用をできることを示すものであり、今後、新たな薬の開発につながることが期待できる。
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Research Products
(6 results)