2017 Fiscal Year Research-status Report
クロストリジウム・ディフィシル感染症に対するDNAワクチンの開発と応用
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16K19132
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
妹尾 充敏 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (20646624)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Clostridium difficile / DNAワクチン / 毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
Clostridium (Clostridioides) difficileは医療関連感染の原因菌であり、その症状は下痢から腸閉塞や消化管穿孔まで幅広く、死亡例の報告も稀ではない。通常、C. difficile感染症の重症例ではメトロニダゾールやバンコマイシンによる治療を行うが、治療後の再燃・再発が多いため、他の治療・予防法が必要とされている。そこで、本研究では毒素をターゲットにしたワクチンを開発することを目的とした。毒素をターゲットにしたワクチンはトキソイドが一般的であるが、毒性復帰などの副反応の問題があるため、副反応を考慮した安全性の高いワクチンとして、毒素の活性領域を除いたDNAワクチンを考えている。 本年度は、C. difficileの病原因子として最も重要なToxin Bに対するDNAワクチンを構築した。Toxin Bのレセプター結合領域の遺伝子をベクターであるpVAX1に結合し、HEK293T細胞へtransfectionした後、24時間培養したところ、細胞内にDNAワクチン由来のタンパク質が発現していることを、western blotを用いて確認した。次に、2週間に1度の頻度で計3回、マウスにDNAワクチンを投与し、抗体産生の有無をELISAで調べたところ、非常に高いレベルでの抗体産生が認められた。そして、この抗体に毒素の中和活性があるかVero細胞を用いて調べたところ、本抗体は中和活性を有していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はDNAワクチンの構築、培養細胞によるDNAワクチン由来タンパク質の発現、マウスでの抗体産生、抗体の中和活性まで確認することができたため、昨年度の遅れを取り戻すことができたと考えている。これにより、来年度はDNAワクチンのin vivoでの効果を確認することができるため、研究の進捗は順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は予定していた段階まで研究を進めることができたため、来年度は予定通り、DNAワクチンを投与したマウスに毒素そのものを投与し、その毒性を抑えることができるか、また、菌株を投与し、実際の感染に近いモデルでDNAワクチンの効果を検証することを予定している。
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Causes of Carryover |
外注作業が遅れ、本年度内の納品が間に合わず、次年度の納品および支払いとなった案件があったため、次年度使用額が生じた。本件についてはすでに納品され、現在支払い手続き中である。(約45万円) 外注品が納品された後、動物実験を行う予定であったため、本件も上記と連動して次年度使用額となった。こちらも外注品が納品されたことからすでに動物実験を開始している。(約30万円) 翌年度請求分の助成金は予定通り、主に動物実験に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)