2016 Fiscal Year Research-status Report
免疫抑制性C型レクチン受容体による抗真菌免疫誘導機構の解明
Project/Area Number |
16K19147
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢部 力朗 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (00598229)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 真菌感染 / C型レクチン受容体 / マクロファージ / 好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、抑制型C型レクチン受容体(CLR)によるカンジダ分子認識機構の解明を目的に、CLR強発現レポーター細胞を構築後、10種類の真菌ライブラリー(Candida albicans、Aspergillus neoformans、Cryptococcus neoformansなど)と共培養し、親和性をフローサイトメトリーで測定した。コントロールベクター発現細胞と比較し、抑制型CLR強発現レポーター細胞による指標は同様傾向を示し、感知能に差は認められなかった。そこで、可溶型CLR(CLR-Fc)を調製し、真菌との結合をフローサイトメトリーを用いて測定した。一部のCLR-Fcは、真菌との相互作用を示した。また、蛍光顕微鏡による解析の結果、蛍光標識化CLR-Fcは真菌の細胞表層を染色することがわかった。しかしながら、これらの結合はEDTAキレーティング処理によっても維持されていることから、カルシウム非依存的に結合することがわかった。また、消化酵素(タンパク質分解酵素、糖質分解酵素など)処理により、CLR-Fcの結合は消失することがわかった。このことから、一部の抑制型CLRは真菌細胞表層上のタンパク質あるいは多糖を認識することが示唆された。 また、当該年度においてマクロファージおよび好中球による貪食機能、サイトカイン産生能、NET能を評価した。マクロファージは骨髄細胞からM-CSFにより誘導し、好中球は骨髄より単離、調製した。これらミエロイド細胞と結合が認められた真菌を共培養し、傷害活性機能を調べた。一部のCLR欠損マウス由来ミエロイド細胞は、野生型マウス由来ミエロイド細胞に比べ、それら細胞傷害機能に異常があることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた計画通りほぼ進めることができた。一部の実験仮説・作業仮説と異なったため、当初の予定に加え、検証実験を実施した。レポーター細胞を用いたアッセイ系により、真菌細胞との相互作用の解析およびリガンド構造の推定を試みたが、アッセイ系がうまく動かなかった。このため可溶性CLRを用いた生化学的実験に変更し、おおむね実験結果を得た。また、ROS産生機構を明らかにする予定であったが、蛍光染色法によるROS測定が動かなかったため、次年度の課題とする。代替手段として、ルミノール発色法によるROS産生により評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
リガンド構造の推定については、CLR強発現レポーター細胞を用いた細胞ベースのアッセイ系から可溶型CLRを用いた生化学的な実験系に変更し、CLRリガンドの探索を進める。ROS産生の評価については、東京理科大学との共同研究により進めていく予定である。 一方、平成29年度に予定していた一部の実験をすでに始めており、遅滞なく進めていく予定である。
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