2016 Fiscal Year Research-status Report
p62関連オートファジーアダプター分子による感染免疫制御機構の解析
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16K19153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 英愛 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任助教(常勤) (60610681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | p62 / NDP52 / Nbr1 / IFN-gamma / Toxoplasma / Ubiquitin |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内増殖病原体の多くは感染細胞内で「病原体含有空胞(PCV)」と呼ばれる特殊な膜構造体を形成してその中で増殖することにより、宿主の持つ異物排除機構から逃れているが、宿主細胞はこのPCV膜を破壊して病原体を排除する機構を有しているPCV膜を破壊する宿主応答には様々な分子の関与が報告されているが、詳細な機構については未解明である。 申請者はPCV膜上に集積する宿主分子の中でもオートファジーのアダプター分子に着目して解析を行っており、p62がPCV膜に集積したあと、空胞内に含まれている分子に対するCD8陽性T細胞の活性化に関与していることを先に証明していた。本年度は、他のオートファジーアダプター分子であるNDP52, Nbr1, OptineurinがPCVに集積するかについて検討した。その結果、NDP52とNbr1はインターフェロン(IFN)-γ刺激依存的に、トキソプラマ原虫感染によって形成されるPCV膜上に集積することが明らかとなった。そこで、NDP52ならびにNbr1遺伝子改変細胞を作成し、これらの分子がPCV破壊機構に関与しているかについて検討を行った。その結果、NDP52ならびにNBR1はIFN-γ刺激依存的なトキソプラズマ原虫の排除機構には関与していないことが明らかとなった。 また、以前報告したp62はオートファジーだけでなくユビキチン化のアダプター分子としても知られており、p62依存的にPCVがユビキチン化されていたことから、PCVのユビキチン化に関与する分子の同定を試み、その結果、候補分子の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オートファジーのアダプター分子のうち、PCVに関与する可能性のある分子だけを選出することができ、さらに選出された分子の機能についても解析が進んでいる。また、PCVのユビキチン化のメカニズムについても解析を進めており、PCVのユビキチン化に関与している分子の同定に成功しているため、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、PCVに集積するがPCV破壊には関与していなかったNDP52ならびにNbr1のPCV内空胞に含まれる抗原に対する抗原提示への関与について検討すると共に、PCVのユビキチン化に関与する分子について、ユビキチン化サイトの同定やユビキチン化に関与するE3リガーゼの同定などの詳細な解析を進め、PCVがユビキチン化されることの免疫学的意義について明らかにする。
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Causes of Carryover |
質量分析解析に基づいた候補分子の遺伝子改変動物ならびに細胞を多数作製していく予定にしており、その必要経費の支払いが次年度に必要なため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質量分析解析によって得られた候補遺伝子のうち、寄生胞膜上に集積が確認された分子に関して、その分子の寄生胞ユビキチン化への関与や寄生胞破壊について検討するため、遺伝子改変細胞ならびにマウスを作製する
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