2016 Fiscal Year Research-status Report
腸管小胞体ストレスに対する免疫応答と腸炎発症メカニズム解明
Project/Area Number |
16K19162
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
細見 周平 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60554938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Xbp1 / MULT1 / NKG2D / 小胞体ストレス / クローン病 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
A. 腸管の小胞体(ER)ストレスによる自然免疫リンパ球誘導 ERストレス腸管上皮細胞株による自然免疫細胞の活性化にIL-15が関与することが推測されたため、Xbp1ノックダウン腸管上皮細胞株(MODE-K細胞)のIL-15発現を比較検討したが、Xbp1ノックダウン細胞における発現亢進は認められなかった。そこで、Xbp1欠損マウス腸管上皮細胞において発現亢進がみられるMULT1 (NKG2Dのリガンドの一つ)が、自然免疫細胞の誘導や活性化に関与していることが推測されたたえめ、エフェクター細胞としてrecombinant IL2刺激後のNK細胞を、標的細胞 としてXbp1ノックダウンMODE-K細胞を用いて細胞傷害アッセイを行ったところ、Xbp1ノックダウン細胞はNKG2Dを介した細胞傷害を受けることが明らかとなった。 また、共同研究先であるBrighum and Women's Hospitalの研究室の実験結果から、Xbp1ノックアウトマウスの自然発症腸炎がNK細胞・NKG2Dを介したものであることを、NK細胞depletion実験とNKG2D阻害実験で明らかとなった。 B. ERストレスによる肥満細胞活性化 他の自然免疫細胞として知られる肥満細胞に対するERストレスの影響を見るため、ヒト肥満細胞株であるLUVA細胞をタプシガルギン刺激して、Amphiregulin発現をqPCRとELISAにて検討したところ、刺激時間依存性にmRNAと蛋白発現が誘導されることが確認された。このAmphiregulinは創傷治癒・線維化に関与すると考えられるために、次年度以降にクローン病病態における役割を明らかとしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腸管上皮細胞株であるMODE-K細胞を用いた実験、及び共同研究室(Brigham and Women's Hospital)によるin vivo実験は概ね計画どおりにすすんでいる。しかし、ERストレスの関与した腸炎発症の自然免疫細胞の誘導・活性化経路として想定される樹状細胞の機能解析を試みたが、樹状細胞株・骨髄幹細胞由来樹状細胞の活性化実験を行ったが、現時点ではERストレス下における活性化因子の同定に至らなかった。そこで他の自然免疫細胞として知られる肥満細胞に注目し、ERストレス刺激の影響をqPCRやELISAによる実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在上記のごとく、他の自然免疫細胞として知られる肥満細胞に注目し、ERストレス刺激の影響を検討している。上記の如く、肥満細胞においてERストレスがAmphiregulinを誘導していることが明らかとなったため、平成29年度以降はその発現誘導メカニズム解明のために、ERストレスで誘導される転写因子であるNK-kB、ATF4やCHOPについて、siRNA実験、クロマチン免疫沈降、ルシフェラーゼ実験を行う予定である。また、クローン病における発現を明らかとすべく、クローン病手術標本を用いて、肥満細胞のAmphiregulin発現とERストレス関連蛋白発現を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していた、小胞体ストレス腸管上皮細胞による樹状細胞活性化実験の条件設定が予定通りにすすまず、細胞単離・多数のmRNA発現解析に使用する予定であった実験試薬購入が遅れたために、平成29年度使用額へ計上されるに至った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、研究実施計画に記載したとおり、樹状細胞とB細胞の相互作用の実験だけでなく、前述の平成28年度状況報告で得られた、小胞体ストレス下の肥満細胞活性実験についての研究を行う予定であり、繰越予算と29年度予算は概ね全額を使用する予定である。
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