2016 Fiscal Year Research-status Report
新規細胞運命追跡法を用いたメモリーCD8T細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
16K19166
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石亀 晴道 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (70729227)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メモリーCD8T細胞 / 免疫記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワクチン接種や病原体感染・排除後に形成されるメモリーT細胞は免疫記憶の成立に中心的な役割を果たすが、その形成機構は未だ明らかにされていない。我々はメモリーCD8 T細胞の分化機構を解明する目的で、CD8 T細胞の活性化・増殖に伴い発現する「終末分化」マーカーとして知られるKLRG1(Killer cell Lectin-like Receptor G1)遺伝子に注目し、KLRG1を発現した細胞を遺伝学的に標識・運命追跡できる実験系を確立した。さらに、リステリア細菌感染モデルにおいて細胞運命追跡法を用いることにより、KLRG1発現を消失した新たなメモリーCD8 T細胞集団(exKLRG1細胞)を同定した。exKLRG1細胞はリステリア細菌感染後5日目頃より出現し、10日目頃にピークを示し、長期間生存可能な能力を有するセントラルメモリー、エフェクターメモリー、及び、組織潜在型メモリーCD8 T細胞へと分化できることが明らかとなった。一方で、KLRG1を発現し続けている細胞のほとんどはエフェクターメモリー細胞であり、組織潜在型メモリーCD8 T細胞集団内には確認できなかった。エフェクターCD8 T細胞の解析により、exKLRG1はKLRG1を発現し続けている細胞やKLRG1を一度も発現していない細胞と比べ、T-bet、Blimp1や、Ki67といったエフェクターT細胞の分化や増殖に関連した分子を中程度に発現していた。この結果と一致して、メモリーexKLRG1細胞は高い細胞障害活性能を維持していることが分かった。 以上の結果、KLRG1+ CD8 T細胞は可塑性を有し、エフェクターCD8T細胞の分化段階で抗原や炎症性サイトカインに中程度に反応した細胞がexKLRG1細胞となり、全てのメモリーCD8 T細胞サブセットへと分化することで免疫記憶の成立に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KLRG1を発現した細胞を遺伝学的に標識・運命追跡できる実験系を確立し、KLRG1+ CD8 T細胞は可塑性を有し、高い細胞障害活性能を有する長期間生存可能なメモリーCD8 T細胞へと分化できる、という仮説を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、exKLRG1細胞の前駆細胞や分化機構を同定し、さらに細胞移入実験によりexKLRG1細胞の機能を詳細に解析することで、KLRG1+ CD8 T細胞の可塑性がどのようにメモリーCD8 T細胞の機能的多様性に影響を与えるのかについて解析していく。
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