2017 Fiscal Year Research-status Report
留学生を起用した理系学生向け医療英語学習用教材・教育カリキュラムの開発
Project/Area Number |
16K19168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 学 北海道大学, 医学研究院, 助教 (30617436)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医学英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学部レベルの医学英語教育(「医学英語学習用教材・教育カリキュラム開発」)を推進するためのものである. 平成29年度は,①実務部分として,平成28年度に行ったニーズ調査に基づいて,各国の文化・医療事情や医療英会話授業のe-learningやテキスト教材の製作を行い,模擬授業を計画する予定としており,特に医療英会話テキスト教材については,本学に在籍する複数名の留学生が共同して平成30年度に行う模擬授業の教材開発を行う予定となっていた.また,②研究部分として,平成28年度に収集された基礎データに関する成果について,中間成果報告として学会発表する予定となっていた. ①実務部分について,参加可能な留学生数が当初の10名から7名に減ったものの,外国人教員1名や博士課程研究員1名の参加協力を追加で得ることができ,教材製作の予定8ヶ月間のうちの計画検討期間2ヶ月を除く6ヶ月で,関係者全員が毎月集まり,教材について制作及びブラッシュアップを行うことができた.この結果,特に病気の簡単な説明や医療者・患者役に分かれた医療英会話,留学生活の参考となる自由会話に分かれた教材については,医学的知識を有しない理系学生が理解できるような充実した教材が完成し,また,平成30年度の模擬授業に向けても,有識者との意見交換も含めて,実施準備が整った. ②研究部分について,日本国内の学生のニーズだけではなく,海外で第2言語として英語を使って医学教育を受けている交換留学生のデータも調査結果として加えた方が研究内容が深まるのではないかとの意見が関係する研究者間で出されたことから,補足データとして本学に交換留学生として来学し実習を行った学生の意見も集めて,合わせて学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,研究成果を実際の実務に結びつける上でベースとなる授業計画立案・成功事例の視察部分について,時間的な問題により十分な成果をあげることができなかったことが問題となっていたが,この部分について,平成29年度に重点的にカバーし,特に,授業計画立案について,複数回,関係者とのミーティングを重ねることで内容を充実させ,問題点を克服できたと考えている.また,成功事例についても有識者から学会で意見を集めることができた. 平成29年度は,平成28年度のデータ収集・分析のような研究部分に重きを置いた内容とは異なり,実務部分(教材開発)がメインであるため,当初の計画以上に何か新たな知見が得られて研究が飛躍的に進展するということはなかったが,当初予定された計画について遅滞なく,全て当初の予定通りの内容で進行することができていることから,進捗状況の評価としてはおおむね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,模擬授業の実施と研究総括となる.本研究の直近の見通しとしては,以下の通りである. まず研究部分については,当初予定されていたニーズ調査の研究成果に加えて,平成28年度に得られた研究成果である学部生・大学院生に対する医学英語教育に関する関連研究,平成29年度に得られた研究成果である海外で英語を使って医学教育を受けている交換留学生についての関連研究も加えた総括内容を,平成31年度の日本医学教育学会で発表できるように,平成30年度内に準備していく必要がある. 次に実務部分については,平成29年度に作成された教材に基づいて,計画された内容で模擬授業を行うこととなっている.対象者は当初の予定通り,医療英語に興味・関心のある医歯薬看護系・理工系学生(医学の専門的知識は有していない)であるため,受講者からの最終フィードバックが,本研究に対する学術的評価として大きな意義を有するものと考えている. 平成29年度まで,研究協力者のスーパーバイズのもと,全て順調に研究計画が進展しているため,研究内容についての大きな変更は必要ないものの,今後,研究成果の総括にあたって,報告書の事務処理等,業務量が大幅に増えることが予想されており,新たな事務業務のサポート要員が必要となりそうな状況にある.これについては,研究協力者とも相談の上,平成28年度~平成29年度にかけて,支出を抑えるように努めてきたため,その繰越額をサポート要員雇用に充てることで研究が滞る恐れはないと考えている.
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Causes of Carryover |
(理由) 平成28年度では,平成29年度に実務部分(教材開発)に重きが置かれる研究内容となっているため,当初の予定通りに予算執行すると追加経費が必要になる可能性があることから,翌年度分の繰り越しを多くしたが,最終的に平成29年度までは予算を超過することなく,無事に研究を遂行することができた.しかしながら,平成30年度は研究総括となっており,今後,平成29年度以上に,報告書の事務処理等,業務量が大幅に増えることが予想されている.これについては,研究協力者とも相談の上,新たな事務業務のサポート要員として事務補助員を雇用することを計画しており,雇用に必要となる予算としては平成28年度~29年度にかけて支出を抑えたことによる繰越額を充てることで,平成30年度の研究計画に滞りを生じないように計画している.
(使用計画) 上述の通り,研究総括をサポートするための事務補助員雇用に繰越額を充てることを考えている.事務補助員雇用以外の経費については,当初平成30年度に措置される予定となっていた直接経費の額の範囲内で,十分,研究計画を遂行できる見込みである.
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