2017 Fiscal Year Research-status Report
選択的抗ATL効果作用を有する新規薬剤TMNAAの作用機序解析
Project/Area Number |
16K19185
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
外山 政明 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80747600)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 成人T細胞白血病 / マイクロアレイ / 標的分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ヒトレトロウイルスであるHuman T-lymphotropic virus type 1 (HTLV-1)が原因で引き起こされる成人T細胞白血病(ATL)に選択的な抗ATL効果を有する低分子化合物TMNAAの作用機序解析(標的分子)を解明することを目的としている。 平成29年度は,平成28年度に行ったマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析から得られた遺伝子についてReal Time RT-PCR法及びウェスタンブロット法により検討を行った。まず,昨年度の解析からWntシグナル経路の下流に存在する転写因子が上昇していることが確認されたため,TMNAAがWntシグナル経路に与える効果をATL細胞株であるS1T細胞を用いてReal time RT-PCR法により検討を行った。その結果,TMNAAで処理された細胞は未処理細胞に比べて,Wntシグナル経路の下流にあるTCF7L2遺伝子が上昇していた。しかしながら,Wntファミリーの遺伝子発現には影響を与えなかった。このことからTMNAA処理によるTCF7L2遺伝子の発現上昇はWntシグナル経路を介したものではないことが示唆された。今後,薬剤処理によるTCF7L2遺伝子の発現増加がATL細胞に与える影響について引き続き検討を行う。加えて,TCF7L2遺伝子以外にも,ATL細胞株及びATL患者末梢血細胞において報告されている,発現増加もしくは減少している遺伝子と合致する遺伝子に対しても影響を与えることが確認されているため,こちらについても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り,平成29年度は平成28年度に行ったマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析から得られた遺伝子について,リアルタイムRT-PCR法やウェスタンブロット法などを用いて発現解析の検討を行った。その結果,マイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析と同様の結果が得られたため,おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き遺伝子発現解析を行いつつ,選択された遺伝子についてATL細胞株及びHTLV-1非感染T細胞株を用いて細胞レベルでの解析をリアルタイムRT-PCR法,ウェスタンブロット法などを用いて行う。その発現が他のATL細胞株及びHTLV-1感染T細胞株においても同様の増減が確認されるか検討を行う予定である。
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