2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the anti-atherogenic mechanism of adiponectin
Project/Area Number |
16K19192
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
垣野 明美 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (00534637)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アディポネクチン / 変性LDL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動脈硬化の原因分子である酸化変性LDLに対するアディポネクチンの作用を解析し、その動脈硬化抑制メカニズムを明らかにすることを目的としている。昨年度までに、アディポネクチンが酸化LDLの作用に影響を及ぼす可能性について検討し、アディポネクチンが酸化LDLに直接結合することにより、酸化LDL-酸化LDL受容体相互作用を抑制することがわかってきた。平成29年度は、アディポネクチン受容体と酸化LDLの関係について検討を進めた。アディポネクチン受容体としては、AdipoRやT-cadherinが知られている。これらはアディポネクチン受容体として働くと同時に、アディポネクチンを介して酸化LDLの作用を抑制するのに積極的な役割を果たしている可能性がある。また逆に、酸化LDLがアディポネクチンのこれらの受容体を介した作用を抑制している可能性が考えられる。このことについて、アディポネクチン受容体発現細胞を用いて検証した。その結果、AdipoR発現細胞や培養血管内皮細胞では、アディポネクチンによって引き起こされる細胞応答を、酸化LDLが抑制した。一方、別のアディポネクチン受容体であるT-cadherinを酸化LDL受容体と共発現させ、酸化LDL-酸化LDL受容体による細胞応答を検討すると、T-cadherinの発現によりアディポネクチンの酸化LDL阻害作用が増強された。すなわち、T-cadherinと酸化LDL受容体が受容体レベルでリガンドを競合的に結合すると考えられた。以上の結果から、酸化LDL作用機構とアディポネクチン作用機構は互いに拮抗する可能性が示唆され、これら2つの作用機構のバランスが動脈硬化進行を調節している可能性が考えられた。
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