2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of a sandwich ELISA for salusin-beta
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16K19202
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤本 和実 北里大学, 理学部, 特任助教 (50769297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ELISA系 / 生理活性ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
新規生理活性ペプチド探索法であるin silico探索法によって初めて同定されたサリューシンβは新規疾患マーカーとしての役割が期待されていたが、実験器具への吸着が著しく、ヒト血中濃度を正確に測定する手段がこれまで存在しなかった。今回、サリューシンβ特有の吸着性を回避し、ヒト血中濃度測定系を開発に成功した。また質量分析にて血中に存在することを確認したサリューシンβフラグメントペプチドと併せてヒト血中遊離サリューシンβ濃度の測定を可能とし、心血管疾患・内分泌代謝疾患におけるバイオマーカーとしての有用性を示すための基礎的検討を行うことを目的としている。 ヒト血漿を、希釈操作のみで血中に存在する遊離サリューシンβを検出する測定系を構築し、健常者血中濃度、生理的変動の有無、副交感神経刺激因子としての動態を検討・解析を行った。健常者血中濃度は約70ng/mLであり、性差、年齢差はなかった。検討した疾患患者(1型糖尿病、2型糖尿病、中枢性尿崩症)では健常者と比較して有意に低値を示した。生理的変動については体位変動、飲水負荷試験、日内変動、高張食塩水負荷試験を行ったが、日内変動のみみられた。副交感神経が最も優位な状態の時にサリューシンβが最低値を示した。 質量分析により発見されたサリューシンβ断片ペプチドについては本測定系では干渉することなく全長サリューシンβのみを認識していることを確認しており、各断片ペプチドに対する抗体の作製を試みているが、ELISA系へ適用できる抗体の作製に難渋している。 本研究から得られた結果よりサリューシンβが生体内での循環ペプチドホルモンとしての働きを担っていることが示唆され、サリューシンβ全長ならびに各断片についてより詳細な解析を行い、新規バイオマーカーとしての有用性の検討を今後も継続していく。
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