2017 Fiscal Year Annual Research Report
らい菌の細胞内寄生分子機構の解明と臨床応用ための研究
Project/Area Number |
16K19204
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
Luo Yuqian 帝京大学, 医療技術学部, 研究員 (20772990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | らい菌 / ハンセン病 / PPARシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、らい菌と宿主との相互作用を解明するために、マクロファージに菌を感染後にDNAマイクロアレイを行い変動する遺伝子全体像を明らかにした。変動遺伝子群を用いpathway解析を行った結果、宿主マクロファージにperoxisome proliferator-activated receptors(PPAR)シグナル伝達経路が活性化していることが高いscoreで予測された。Real-time PCRで確認した結果、らい菌感染が特異的にPPAR-γとPPAR-δのmRNA発現を誘導したことが明らかになった。Western blottingを行った結果、PPAR-γとPPAR-δのタンパク発現もらい菌の生菌にのみ誘導されたことが示された。また、PPAR-γ、PPAR-δとADRPの遺伝子発現量は、感染した菌の濃度依存性に誘導されたことが明らかになった。免疫蛍光染色によって、らい菌感染後にPPAR-δとPPAR-γの細胞内局在が細胞質内から核内に変動することが示され、らい菌感染後にPPARシグナルが活性化することが示唆された。一方、PPAR-δまたはPPAR-γの拮抗剤治療によって、らい菌感染後の泡沫細胞化が抑えられ、宿主遺伝子の変動も阻害されることから、宿主PPARシグナル伝達経路がらい菌感染に関与する可能性が考えられる。さらに、ハンセン病の予後や治療効果の判定に役立つbiomarkerを同定するための検討を行うために、ハンセン病治療前後の患者からの皮膚検体からRNAを抽出し、それにおけるPPARs標的遺伝子の実際な発現レベルを調べた。その結果、宿主PPARシグナル標的遺伝子発現量がハンセン病治療前後に特異的に変動することが示され、宿主PPARシグナル標的遺伝子がハンセン病治療効果評価の新規biomarkerとして、ハンセン病治療効果評価に役立つ可能性が考えられる。
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