2017 Fiscal Year Research-status Report
アシネトバクター属菌のカルバペネム耐性化機構の解明と検査法開発
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16K19208
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松井 真理 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (50555761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アシネトバクター属 / カルバペネム耐性 / カルバペネマーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的に進むアシネトバクター属の薬剤耐性化は、流行株と呼ばれる特定の遺伝子型のまん延と関連があることが示唆されている。 本年度は、国内の医療機関で分離されたアシネトバクター属866株を対象に、流行株 アシネトバクターバウマニIC IIの分離状況とその特徴を調べた。日本は諸外国に比べアシネトバクター属の薬剤耐性率が低いことから、アシネトバクターバウマニIC IIは少ないと予想していたが、それに反し、解析対象株の約3割がIC IIであった。また、諸外国で報告されるアシネトバクターIC IIの多くが獲得型カルバペネマーゼ遺伝子を有しているのに対して、本研究で解析したIC IIのうち獲得型カルバペネマーゼ遺伝子を有した株は9株(4%)のみであった。本研究で解析したIC IIは、諸外国で報告されるST(ST208及びST219)と国内型ST(ST469)に大別され、国内型STは多くの抗菌薬に感性であった。獲得型カルバペネマーゼ遺伝子保有株が少ないこと、国内型STの存在が、日本でアシネトバクター属の薬剤耐性化が諸外国に比べて進んでいない要因であることが示唆された。 本研究課題では、昨年度、アシネトバクターバウマニが染色体上に有するOXA-51型カルバペネマーゼ遺伝子の変異によってカルバペネム耐性化することを示唆するデータを得ている。獲得型カルバペネマーゼ遺伝子保有株が少ない日本では、OXA-51型カルバペネマーゼのカルバペネム耐性化への寄与を明らかにする意義は大きいと考え、次年度以降引き続き検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の移転作業があったため、予定していたクローニング等の実験計画を一部変更し、分子疫学解析を主に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
アシネトバクターバウマニの有するOXA-51型カルバペネマーゼの解析及び、ゲノム配列解読を実施中の獲得型カルバペネマーゼ産生株の配列解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。H29年度分の一部の実験を次年度実施予定のため、関連する計画分を次年度支出額に計上予定。 (使用計画)上記のとおり
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