2018 Fiscal Year Research-status Report
アシネトバクター属菌のカルバペネム耐性化機構の解明と検査法開発
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16K19208
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松井 真理 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (50555761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アシネトバクター属 / カルバペネム耐性 / カルバペネマーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
獲得型カルバペネマーゼ遺伝子(OXA-23型、OXA-58型、IMP型)を有するカルバペネム耐性アシネトバクター属菌42株(菌種内訳:Acinetobacter baumannii 17株, Acinetobacter pittii 14株, Acinetobacter nosocomialis 10株, Acinetobacter ursingii 1株)を対象に、全ゲノム解読を実施し、カルバペネマーゼ遺伝子の局在(染色体もしくはプラスミド)の検討及びカルバペネマーゼ遺伝子配列の周辺構造比較を行った。全ゲノム解読は、S1-PFGEにて染色体DNAとプラスミドDNAを分離後に実施した。カルバペネマーゼ遺伝子が検出されたプラスミドについては、得られた解読配列を用いて既報(Bertini et al., Antimicrob Agents Chemother 2010、Towner KJ et al., Antimicrob Agents Chemother 20011)に従い、in sillicoでレプリコンタイピングを実施した。また、一部のプラスミドについては、既報のアシネトバクター属菌のプラスミド配列との比較を行った。 IMP型カルバペネマーゼ遺伝子は、全ての解析対象株において、プラスミド上に存在することが示唆されたが、OXA-23型カルバペネマーゼ遺伝子は、一部の株を除き、解読したプラスミドDNA上には検出されなかったことから、染色体上に存在する可能性が示唆された。また、IMP型とOXA-58型の2つのカルバペネマーゼ遺伝子を含むプラスミドが検出された。引き続き、詳細な比較解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
獲得型カルバペネマーゼ遺伝子(OXA-23型、OXA-58型、IMP型)を有するアシネトバクター属42株を対象に、S1-PFGE後の全ゲノム解読を実施することができた。得られた解読配列からrep遺伝子配列を抽出し、既報に従いプラスミドレプリコンタイピングを試みたところ、一部のプラスミドではレプリコンタイプを決定できたものの、レプリコンタイプの決定には至らないプラスミドが散見された。また、上述の42株に加え、新たに数株の獲得型カルバペネマーゼ遺伝子陽性のアシネトバクター属を得ることができた。次年度、同様にS1-PFGE後の全ゲノム解読を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
獲得型カルバペネマーゼ遺伝子を含むプラスミド配列の詳細な比較解析をすすめ、その遺伝的背景を明らかにする。レプリコンタイプ決定に至らなかった株については、新たなレプリコンタイプ提唱を視野にデータを蓄積する。プラスミド性のカルバペネマーゼ遺伝子については、接合実験を行い実験的に伝達性の有無を確認する。染色体性のカルバペネマーゼ遺伝子の存在が示唆された株については、その局在を明らかにする。得られた成果をまとめ、学会や論文にて発表する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが平成31年4月1日以降となったため。 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、平成30年度分についてはほぼ使用済みである。
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