2016 Fiscal Year Research-status Report
RTP4-μδ ヘテロ二量体相互作用を標的とした新しい疼痛治療法の開発
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16K19214
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 和歌子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30382328)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | RTP4 flexed mouse / RTP 発現誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2年間の研究期間内に、mu-delta ヘテロ二量体と RTP4 との相互作用について解析し、最終的にその相互作用の阻害によるモルヒネ鎮痛耐性形成への影響を明らかにすることを目的としている。初年度には、①RTP4 と mu-delta ヘテロ二量体の相互作用モデルの構築、②RTP4 ノックアウトのmu-delta ヘテロ二量体の薬理作用に及ぼす影響の解明、③RTP4 ノックアウトがモルヒネ鎮痛耐性形成に及ぼす影響の解明、を行うことを計画した。現在までに、mu-delta ヘテロ二量体との相互作用部位を解明するためのRTP4 の deletion mutant の作成と、RTP4 の脳部位特異的欠損マウスを作成するためのRTP4 floxed マウスの作製が進んでいる。 RTP4 deletion mutant では、mu-delta ヘテロ二量体の細胞内部分(C末端側)との相互作用を予想していたことから、RTP4 の細胞内部位(N末端側)を削ったものをデザイン、作成した。 RTP4 floxed マウスは新潟大学脳科学研究所にて作成していただき、受精卵の状態で凍結されたものを譲り受け、現在個体復元中である。 また in vivo で予備的に確認されていたモルヒネ鎮痛耐性形成時における RTP4 の発現上昇が、in vitro においても再現できるかどうかが不明であったため、in vitro の実験系において、オピオイドの長期処置が RTP4 の発現に影響するかどうかを解析した。細胞は Neuro2a 細胞を用い、mu受容体アゴニスト、delta 受容体アゴニスト、mu-delta ヘテロ二量体アゴニストを使用した。その結果、24時間処置によりRTP4 mRNAの発現上昇が確認された。 これらの研究成果は国際麻薬研究会、日本薬理学会等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初 CRISPR-Cas9 システムを用いたノックアウトマウスの作成を試みていたが、計画通りに進まなかった。さらに、全身ノックアウトよりも、脳部位特異的なノックダウンを用いることで、モルヒネ鎮痛耐性形成における責任脳部位の同定と、各脳部位における RTP4 の役割を詳細に解析できるため、計画を変更し、RTP4 floxed マウスの作成をすることとした。
また、mu-delta ヘテロ二量体を介する薬理作用を観察するための、mu-delta ヘテロ二量体安定高発現細胞株の作成に予定よりも時間がかかっている。そのため、一過性の受容体高発現実験系を用いて検討を試みている。mu-delta ヘテロ二量体を介する薬理作用の解析は検討できておらず、次年度に解析を行う。また mu-delta ヘテロ二量体の特異的抗体(譲受)を用いて、細胞免疫染色法により、mu-delta ヘテロ二量体発現の観察を試みているが、実験条件設定に予定よりも時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、RTP4 floxed マウスの個体が作製できる予定であるため、アデノウイルスベクターを用いて Cre タンパク質を脳部位特異的に高発現させ、RTP4 コンディショナルノックダウンマウスモデルを作成する。このモデルマウスにおいて、モルヒネ鎮痛耐性形成を行動薬理学的に観察する。
また、mu-delta ヘテロ二量体発現細胞を用いて、オピオイド受容体アゴニストによる薬理作用(細胞内シグナル)に及ぼす RTP4 deletion mutant ならびに RTP4 ノックアウトの影響を観察する。薬理作用の解析方法は、βアレスチンベータアレスチンリクルート活性測定法と、cAMP の産生量測定法を用い、RTP4 ノックアウトには shRNA を用いる。
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Causes of Carryover |
RTP4 flexed マウスの作成を行ったが、本学の動物施設に譲受マウス個体を搬入することができなかったため、本学にて受精卵から個体復元を行うこととした。そのため、個体復元にかかる費用として次年度使用額を確保する必要が生じた。また、初年度には mu-delta ヘテロ二量体の薬理作用の解析ができなかったため、次年度にかかる消耗品経費として、次年度使用額を生じる必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RTP4 floxed マウスの個体復元、および行動薬理学的解析のための費用として使用する。またmu-delta ヘテロ二量体の薬理作用解析のための消耗品購入費として使用する。
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Research Products
(4 results)