2016 Fiscal Year Research-status Report
三叉神経痛の慢性化にともなう大脳皮質疼痛応答の変容
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16K19215
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
角 友起 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50551363)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 体性感覚野 / フラビン蛋白蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究実施計画にもとづき、マウスの大脳皮質体性感覚野のフラビン蛋白蛍光イメージング実験のセットアップ、測定条件の検討、フラビン蛋白蛍光イメージングによる体性感覚野のマッピングを行った。 実験動物としてマウスを用いた。マウスにウレタン麻酔を施し、頭部固定装置に固定した状態で頭蓋の皮膚を切開し、体性感覚野を中心とした大脳皮質直上の頭蓋骨を露出した。頭蓋骨表面にパラフィンオイルを塗布した後にラップ片をかぶせ、頭蓋骨の乾燥を防いだ。その状態で蛍光顕微鏡下に置き、身体各部の瞬間的な触覚刺激に対する体性感覚野のフラビン蛋白蛍光イメージングを実施した。イメージングの結果、触覚刺激に応じて体性感覚野に局所的なフラビン蛋白蛍光信号の増強が見られた。前肢、後肢、眼周囲、耳、ヒゲ部の皮膚に与えてイメージングを行った結果、蛍光信号の増強部位が刺激部位によって異なり、体性感覚野に皮膚触覚の部位再現(触覚マップ)があることがフラビン蛋白蛍光イメージングでも明らかになった。このマップは先行研究において電気生理学的に観察されたものに類似しており、フラビン蛋白イメージングが十分な空間解像度を有していることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経頭蓋によるフラビン蛋白蛍光イメージングの計測条件が整い、基礎データを取ることができる状態になっているため、29年度の実施計画の一部にすでに到達している。当初の28年度計画にある脳表を露出してのフラビン蛋白蛍光イメージングは、今回の頭蓋骨越しのイメージングが成功したことで、必ずしも必要な段階では無いと判断しているが、経頭蓋イメージングと脳露出によるイメージングで感覚マップの違いや信号計測に大きな違いがないことを確認する必要があるため、29年度に確認実験を行う予定である。また三叉神経領域の詳細なマッピング、ウレタンによる深麻酔状態ではなく覚醒状態でのイメージング、経日によるイメージング能の変化についても未実施であるため、同じく29年度に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
フラビン蛋白蛍光イメージングによる三叉神経領域の詳細な触覚マッピング、覚醒状態でのイメージング、経日によるイメージング能の変化について早期に実施する予定である。その後、カプサイシン皮下投与による慢性三叉神経痛モデルを用い、三叉神経支配領域への触覚刺激に対するフラビン蛋白蛍光イメージング応答の変化を調べる。カプサイシン処置実施後のイメージングの経日変化を観察し、慢性疼痛成立に伴う体性感覚野の触覚応答の変化を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度はフラビン蛋白蛍光イメージングの際に使用するイメージングソフトウェアおよび解析ソフトウェア、LED光源をメーカーからの試用貸与品を使用して実験を実施したため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の実験セットアップで目的のデータを取得可能であることが確認されたため、28年度は試用貸与品であったイメージングソフトウェア、LED光源等を購入する予定である。
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