2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of antimicrobial peptide cathelicidin on atopic dermatitis
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16K19217
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
梅原 芳恵 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (40707072)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗菌ペプチド / カテリシジン / アトピー性皮膚炎 / 難治性かゆみ |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)における難治性のかゆみは、不眠や就労障害の原因となり患者のQuality of Life(QOL)を著しく障害する。AD病変部では、神経伸長因子nerve growth factor(NGF)の発現亢進に加えて、神経反発因子semaphorin3A(Sema3A)の発現が低下することで表皮内神経が稠密化する。この稠密化は外部からのかゆみ刺激に対する受容増加に繋がるため、ADの末梢におけるかゆみ過敏の一因であると考えられている。またAD病変部は、表皮角化細胞における抗菌ペプチドの産生が誘導されないために、易感染性である。最近、我々は表皮角化細胞におけるSema3A発現が抗菌ペプチドの一種であるカテリシジンによって増加することを見出した。そこで、本研究では抗菌ペプチドカテリシジンを用いた止痒効果と抗菌作用を有する新しいAD治療薬の開発を目指す。 平成29年度はADモデルNC/Ngaマウスに対するカテリシジンの治療効果について検討を行った。皮膚炎スコアが5以上のADモデルNC/Ngaマウスにカテリシジン配合軟膏を塗布した結果、対照群と比較して皮膚炎およびかゆみ行動の抑制は認められなかったが、バリア機能の改善(角層水分量の増加)が認められた。皮膚のバリア機能を正常に保つには、フィラグリンからの天然保湿因子産生に関与するプロテアーゼの発現が重要であり、それらの異常がドライスキンやADの発症素因の1つになる。そこで、皮膚におけるそれらのプロテアーゼ(ブレオマイシン水解酵素、カルパインI、カスパーゼ14)の発現を定量的Real-time PCRにより比較した結果、ブレオマイシン水解酵素およびカルパインIの発現がカテリシジン配合軟膏塗布群において増加していた。これらの結果から、カテリシジンはドライスキン改善効果を持つことが示唆された。
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