2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the brain circuit and mechanism for itch processing
Project/Area Number |
16K19219
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
井上 明俊 関西医科大学, 医学部, 助教 (50709152)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NR2B / NMDAR / 痒み |
Outline of Annual Research Achievements |
NMDA受容体(NMDAR)のNR2Bサブユニットのリン酸化部位を消失させたノックインマウス(NR2B Y1472F-KI)において、ヒスタミンやクロロキンなど様々な痒み物質に対する掻破行動が野生型マウスに比べて大きく低下することを発見した。この原因を明らかにするために三叉神経脊髄路角におけるc-fosの発現解析を行ったところ、Y1472Fマウスでは野生型と比較してクロロキン刺激に対するc-fosの発現が大きく低下していることが明らかになった。さらに、大槽内への様々な作動薬、阻害剤の投与実験から多くの痒み伝達にはNR2Bのリン酸化が重要であり、NMDA受容体を介して痒み刺激が伝達されていることが示された。 一方で、セロトニンや5-HT2セロトニンレセプタ-の作動薬であるα-メチルセロトニンに対する掻破行動は野生型とY1472F-KIでは優位な差が見られなかった。c-fosの発現解析においても、Y1472Fマウスは野生型差が見られず、また、NR2Bの選択的な阻害薬の大槽内投与は、セロトニンに対する掻破行動に変化をあたえなかった。このことからヒスタミンやクロロキンと異なり、セロトニンに対する痒み伝達においてNR2Bのリン酸化が重要ではないことが示唆された。三叉神経脊髄路角においてセロトニンはNMDA受容体を介さない別経路で伝達されていると推測される。 痒みが脳においてどのように伝達され痛みと区別されているのかまだ分かっていない。このことを明らかにするために、マウスの毛剃りした左頬にビタミンD3のアナログ体であるMC903を塗布し、慢性的な痒みモデルの作製を行った。このマウスを用いて脳の連続切片を作製し、c-fosの発現解析を行った。痛み応答に関わる傍小脳脚核や体性感覚野、外側扁桃体などにおいて強いc-fosの発現が見られた。現在、痒みに特異的に応答する脳部位の探索を行っている。
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Research Products
(2 results)