2016 Fiscal Year Research-status Report
スポットスキャニング陽子線治療におけるハイブリッド型IGRTの基礎検討
Project/Area Number |
16K19222
|
Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
松崎 有華 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 技師・研究員 (30583083)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 粒子線治療 / 粒子線ラジオグラフィー / 三次元スキャニング照射 / IGRT / IGPT |
Outline of Annual Research Achievements |
動きのある臓器に対する放射線治療では、ビーム照射中に透視X線を用いて標的(腫瘍)の位置をモニタリングし、標的が一定の領域に達したときのみビームONするゲーティング法が光子線治療で実績を上げており、粒子線(陽子線・炭素線)治療においても3次元スキャニング照射法へ適用が広がっている。しかしながら、粒子線治療では腫瘍と周辺臓器との位置関係の変化によって粒子線の飛程が変化し、線量分布に大きく影響を及ぼすため、X線画像から得られる解剖学的な位置情報だけでは、標的に対して正しく照射されていることを担保することは難しく、マージンを広めに設定するなど様々な手段が講じられている。本研究では、飛程情報に基づいたより高精度な照射を実現するために透視X線による従来のImage-guided Radiation Therapy (IGRT)と、動画像を取得する粒子線フルオロスコピーを組み合わせたハイブリット型IGRTの開発を目指し、基礎検討を行うことが目的である。 平成28年度は、以下2点について検討した。粒子線ラジオグラフィーの検出器を検討するために、汎用モンテカルロ・シミュレーションコードPHITSを用いてシミュレーションを実施した。まずは粒子線のBragg peak近傍における一次・二次粒子の空間分布を詳細に調査し、標的を通過する粒子の位置分解能の向上が可能か検討を行った。併せて、患者の体表面から標的までの密度変化情報を得るために、粒子線ラジオグラフィーとX線透視画像から得られる位置情報で腫瘍周辺の3次元位置を算出するアルゴリズム開発に着手した。実際の体幹部患者2例について、毎治療時の治療ビーム照射直後に取得したin-room CT画像(4DCT)を参照画像とし、照射直前に取得したX線透視画像と患者体表面に設置した外部センサによって取得した呼吸波形データを用いて解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、陽子線治療を想定し研究計画を立てていたが、年度の半ばより陽子線治療施設から炭素線治療施設へ所属変更となり、研究環境の維持や実験の遂行が困難となった。そこで実験の効率化を考慮し、炭素線ラジオグラフィーを主としてシミュレーションを実施し再検討しているため、当初の計画より遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、シミュレーションを実施し、前年度予定しながら実施できなかった従来検出器を用いた基礎実験を行い、飛程検出のためのプロトタイプ機の設計・作成する予定である。線質を変えたことで二次粒子の挙動が陽子線とは異なるため、位置分解能の向上へのアプローチとして検出機構の工夫だけでなく、解析的計算法により位置情報を得る方法を検討する。並行して粒子線ラジオグラフィーとX線透視画像から得られる位置情報で腫瘍周辺の3次元位置を算出するアルゴリズム構築を行う。
|
Causes of Carryover |
旅費を低く抑えることができたため、シミュレーション用ワークステーションのパフォーマンス向上に計上したが、若干の残額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
情報収集を目的とした国際会議出席の旅費、モンテカルロ・シミュレーションの効率化のためのソフト購入、プロトタイプ飛程検出器の製作費用として、過不足なく執行する予定である。
|