2017 Fiscal Year Research-status Report
中性子が誘発する2次がんリスク値予測システムの開発
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16K19230
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
黒須 圭太 大阪大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (60761400)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / モンテカルロシミュレーション / 2次がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は粒子線治療時に生成される中性子線量が誘引する2次がんに着目し、粒子線治療によって患者が被る中性子線量を予測し、2次がんが最も少なくなる照射方法決定の一助とすることを目標としている。本年度はボクセルファントムを導入した計算系を構築して中性子線量の計算を遂行すること、また得られた線量から2次がんのリスク値に大きく寄与する因子を解析することを目標とした。 まず日本人を模擬したボクセルファントムデータ(JM-103、JF-103)をモンテカルロシミュレーションツールPHITSに導入し、単純な照射系を作成して計算が遂行されることを確認した。同様に、欧米人を模擬したICRP reference computational phantomを入手して計算系へ導入し、日本人と欧米人双方に対して解析ができる環境を整備した。双方のボクセルファントムに対して陽子線治療を想定した単純な照射系を設定し、甲状腺や胸腺、肝臓、膀胱など、全身の臓器が受ける放射線線量を計算したのち、2次がんのリスク値を陽子線、そして中性子の発生由来ごとに分けて算出する予定である。シミュレーション計算のためにメモリ共有型並列計算が可能な環境を準備していたが、ボクセルファントムの計算系への導入に要するメモリ容量が大きく、精度担保された線量計算のためには想定よりも多くの計算時間を必要としている。そのため、補助事業の年度内の完了が困難となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
構築した粒子線シミュレーション系へのボクセルファントムの導入に時間を要したため、計算開始時期が遅れてしまった。しかしながら、計算パラメータの導出や線量計算後のリスク値の評価方法は確立しているため、精度担保に必要なシミュレーション計算時間のみが欠けている状況である。以上より、現在までの達成度としては、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
計算線量に対する不確かさを確認しながら計算回数を増やしていき、計算線量の精度担保を実施する予定である。シミュレーション計算している傍らで論文原稿執筆や学会発表準備にも取り組み、成果を学術論文や学会発表を通して迅速に報告できるように活動していく。
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Causes of Carryover |
構築したシミュレーション系へのボクセルファントムの導入に時間を要したため、計算開始時期が遅れてしまった。今年度内に研究成果を取りまとめることができなかったため、本年度内の学会発表や学術論文に掛かる経費が多く掛からなかった。次年度はこれらの費用が多く必要であると考えており、国内外の学会での研究成果発表や学術論文の投稿費用、またデータの整理に必要なストレージやソフトウェアの購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)