2016 Fiscal Year Research-status Report
呼吸性移動による変形を再現する胸部ファントムの作成
Project/Area Number |
16K19234
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大町 千尋 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (20588967)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子線治療 / 人体模擬ファントム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は強度変調陽子線治療における呼吸性移動を伴う領域に対する線量評価用人体模擬ファントムの作成である。呼吸による胸部及び体表面の変形を再現することで、水等価長の変化が粒子線治療における線量分布に及ぼす影響を評価することが可能となる。 平成28年度は胸部骨格の素材の検討を行った。呼吸による胸部骨格の動きと可動領域については肋椎関節の再現が重要であり、駆動方向と領域が適切に再現される必要がある。また筋肉の収縮による骨格の動きの再現は困難であることから、造形する肺と関節部に構造の再現性を持たせることで、疑似的に呼吸時の筋肉の収縮を再現することを想定している。胸部骨格における肋骨等の骨構造ついては、ABS樹脂を利用した3Dプリンタで造形した肋骨をシリコンで型取りし、石膏を流し込むことで造形することとした。関節部分についてはMRI画像を基に、必要となる関節部分を描出し、胸部骨格同様に3Dプリンタによる造形と型取りを行い、ウレタンゴムによる造形を採用することとした。ただし、この手法で再現した胸部骨格では関節の駆動方向へ制限がかからないため、呼吸による骨格の動きを正しく再現できておらず、ウレタンゴムのみによる関節の作成に変更を加える必要がある。具体的手法については検討中であるが、ウレタンゴムで作成した関節とABS樹脂等の水等価なサポート材を併用することで関節の駆動方向に制限を加えることが出来ると考えている。骨及び関節以外の領域についてはゼラチンによる造形を想定していたが、高濃度ゼラチンでも形状の復元が難しいことから、別の素材の選定が必要となった。こちらも軟質のゴムの利用を検討しており、素材の検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に予定していた胸部骨格の作成において、関節部分の造形及びその保持について依然改善の余地が残されており、もう少し時間が必要である。また筋肉等の水等価領域において、呼吸性移動による骨格形状の変化を吸収、形状の復元は必要であるが、ゼラチンの濃度のみではその機能を実現することが難しく、素材を再度選定する必要が発生しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は引き続き胸部骨格の作成及び水等価領域の材質の選定を行い、平成28年度に予定していた内容を完了させる。その後、気管及び肺の造形を進め、平成29年度に予定していた研究内容の完了を目標とする。
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Causes of Carryover |
試作段階で水等価領域の素材に変更が生じたこと、関節部の作成に課題が残っており、その検討段階であるため、当初想定していた試作品を作成する段階に至っていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に引き続き胸部骨格の作成を行うため、平成28年度に使用しなかった試作費用が必要となる。それ以外は予定通り研究を進めていく予定である。
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