2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中の環境要因がエピゲノムを介して小児の脂質代謝と肥満・やせ型に与える影響
Project/Area Number |
16K19245
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子遺伝疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国で低出生体重児割合の上昇、小児肥満・やせ型傾向の増加が報告されている。この背景として生活習慣の変化と共に、胎児期の環境要因による後天的な遺伝子発現制御機構であるエピゲノムが関与する可能性が示された。エピゲノムの一つであるDNAメチル化は、個体の発生・分化の段階でダイナミックに変化しており、環境要因から最も強く影響を受けやすく、母体の環境要因が胎児のエピゲノムに影響する可能性がある。そこで本研究は、妊娠中の環境要因がエピゲノムの作用機序を介して出生時から学童期までの脂質代謝や小児肥満・やせ型に与える影響を明らかにすると共に、出生低体重や小児肥満・やせ型傾向のリスクとなる環境要因を明らかにすることにより予防的な知見を提供する。 平成29年度は「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」の参加者を対象に、小学校入学から小学校6年間の学校健診記録のデータを収集した。児童の体格と妊娠中の脂肪酸(パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHA)濃度、喫煙、飲酒、魚摂取量との関連を解析した。小学校6年生の体重と母の妊娠中の飲酒が正の相関、妊娠中の母の喫煙、母体血中パルミチン酸濃度と負の相関が認められた。両親の身長と体重、身体測定の月齢で調整しても結果は同じであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」の参加者を対象に、小児の発育曲線を作成してやせ型・肥満を評価するために、学校健診記録の転記を依頼する調査票を郵送した。調査票は小学校入学から小学校6年間の学校健診記録のうちから1年に1-2回の身長・体重のデータの転記をお願いするものであった。 児童の体格と妊娠中の栄養や喫煙などの環境との関連を検討するため、妊娠中の脂肪酸(パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHA)濃度、喫煙、飲酒、魚摂取量などのデータを得た。単変量解析では、小学校6年生の体重と母の妊娠中の飲酒が正の相関、妊娠中の母の喫煙、母体血中パルミチン酸濃度と負の相関が認められた。両親の身長と体重、身体測定の月齢で調整しても結果は同じであった。 妊娠中の栄養や環境との児童の体格との関連、その関連に関与する臍帯血中のメチル化率との解析に、データが多く、統計解析に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
妊娠中の栄養や喫煙などの環境と児童の体格についてさらに解析する。生後の受動喫煙や環境要因と児童の体格との関連を検討する。妊娠中の栄養や喫煙などの環境と児童の体格との関連について、臍帯血中CpGサイトのメチル化が関与するか、解析を行う。生後の環境と生後の生体試料のメチル化率の関連を解析する。
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Causes of Carryover |
データ分析、生体試料中のエピゲノム解析が途中であるため、実験補助の人件費および実験試薬の購入など、予定より支出が低くなった。 平成30年度は、データの解析、生体試料の収集、実験補助の人件費、実験試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)