2016 Fiscal Year Research-status Report
多次元・多時点ヘルスデータにベイジアンネットワークを活用した予防と医療の連携
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16K19251
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福間 真悟 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (60706703)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 健康医療ビックデータ / 予防医学 / 予測モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
1.予防と医療のデータ連携 全国土木建築国民健康保険組合との共同研究にて、約50万人の組合員、家族会員のレセプト、健診データを時系列で突合し、分析可能な、多次元・多時点健康医療統合データベースを構築した。非常に大きなサンプルサイズで、データ量が大きいため、Amazon Web Servicesを利用して、データマネージメントシステムを作成した。セキュアなクラウドサーバー上で、データの匿名化加工、データ突合を行った。 2.モデルプロジェクトの分析 CKD未受診者の実態を調べるため、特定健診の追加項目でクレアチニン、尿たんぱくを測定されCKDの条件を満たした対象者の医療機関受診状況を分析した。CKD病名で医療機関を受診した対象者は13%しか認められなかった(論文投稿中)。以上の結果より、CKD未受診者対策の重要性が再確認された。 次に、顕性蛋白尿を認めない63,782名の糖尿病患者を対象に、1年後の顕性蛋白尿出現を予測するモデルを構築した。多変量ロジスティック回帰モデルを利用した従来の予測モデルでは、男性、BMI、収縮期血圧、心血管疾患併存が予測因子として残ったが、モデルの識別力は高くなかった(AUC 0.63)。健診データのみを利用した古典的な予測モデルでは、複雑な病態や個人差を持つ糖尿病性腎症の重症化を予測することが困難であり、より柔軟なモデル(ベイジアンネットワーク、深層学習)でのモデル構築の必要性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、大規模健康医療データにベイジアンネットワークなどの柔軟なモデルを適応するための基盤構築に取り組んだ。 セキュアなクラウドサーバー上に、データマネージメントシステムを構築した。 古典的な予測モデルの限界を調査するために、糖尿病重症化予測モデルの構築を行った。 ベイジアンネットワーク、深層学習など、より柔軟な解析モデルの実装のために、解析モデルの検討を、研究協力機関の滋賀大学データサイエンス学部と連携して行っている。 全国土木建築国民健康保険組合との共同研究事業として、データ解析結果と保健事業との連携を進めるために、月1回の定例会議を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度に構築した大規模健康医療データを保健事業にも活用可能な形式にアップデートを行う。また、上記データベースシステムを臨床疫学研究に活用するための以下のモデルプロジェクトを行っていく。 ①CKD未受診者対策プロジェクト:CKD未受診者の抽出をアルゴリズム化し、受療勧奨のための介入プログラムにつなげる。 ②機械学習による介入効果の事前予測:ライフスタイルや医療受診行動への介入が、将来の腎機能に与える影響を事前に推定するために、偽相関を見破る機械学習技術を滋賀大と協力して開発する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に米国データを取得し、解析アルゴリズムの構築を日米両国のデータで行う計画に修正した。それに伴い、解析用アルゴリズム構築をデモ環境で行った後に、本番解析環境に移行する予定としたため、本番環境構築のための解析機器購入が平成29年度に変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に解析・データマネジメント用PCを購入し、本番解析環境を構築する。平成30年度に解析結果を保健指導で利用するためのタブレット購入を行う予定である。 その他の使用は、申請時の計画に沿って行う。
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