2016 Fiscal Year Research-status Report
職域での糖尿病重症化予防のための受療行動促進に向けた保健指導プログラムの効果検証
Project/Area Number |
16K19264
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
永田 智久 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教 (40525466)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 大規模コホート / 健康診断 / 事後措置 / 職域 / 産業保健 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、糖尿病の受診勧奨・継続受診を目的とした、多企業参加型の介入研究であり、職域における糖尿病者の受診勧奨・継続受診を促す介入プログラムを開発・効果検証を行うことを目的とした。 2016年度は実態調査を実施した。定期健康診断でHbA1c(NGSP)8.0%以上、または、空腹時血糖200mg/dL以上、または、随時血糖300mg/dL以上の者は、108879人中846人(0.78%)であった。本有所見者のうち、定期的に受療している者(健診受診年度の12月~3月に血糖降下薬が処方され、傷病名に糖尿病と記載されたレセプトが2回以上ある者と定義した)は71.2%であり、比較的高い受療率であった。これは、研究参加企業のうち複数の企業で、就業措置基準を設定し、一定の基準(HbA1c10以上等)を超えた場合は産業保健スタッフが受診勧奨をしたうえで上長にも情報共有する等、就業上の措置を徹底していたことも一因と考えられる。 一方、定期健康診断でHbA1c(NGSP)6.5%以上、または、空腹時血糖126mg/dL以上、または、随時血糖200mg/dL以上の者は、108879人中4296人(3.9%)であった。本有所見者のうち、定期的に受療している者(健診受診年度に傷病名に糖尿病と記載されたレセプトが1回以上ある者と定義した)は41.3%であった。 一方で、企業によって産業保健スタッフの数や配置、保健指導や健診事後措置の実施方法にばらつきがあり、糖尿病者の受診およびその継続(受療行動)を促進するためのプログラムを企業横断的に標準化して介入することが困難であることがわかった。そのため、企業横断的に介入プログラムを実施し、効果検証を行うことは困難であると考えられ、企業毎に介入効果を検証することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
10万人を超える約20社からなる大規模コホートにおけるベースライン調査は終了し、おおむね順調に進行していると考える。一方で、企業によって産業保健スタッフの数や配置、保健指導や健診事後措置の実施方法にばらつきがあり、糖尿病者の受診およびその継続(受療行動)を促進するためのプログラムを企業横断的に標準化して介入することが困難であることがわかった。そのため、各企業の健診事後措置の実施方法をより詳細に調査し、その効果について企業内の事業所毎に精緻に分析・効果検証する、未受診者、治療中断者に対して、その理由の詳細を調査することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年6月~10月:20社に対して健診事後措置の実施方法の詳細について調査 2017年6月~10月:約2万人にアンケートを実施し、未受診者にその背景となる理由を聴取 2018年1月~3月:ベースラインデータについて学会発表、論文化 2018年4月~8月:企業毎に健診・レセプトデータを使用して、糖尿病受診勧奨、治療中断者への介入の効果について効果検証を実施 2018年10月~2019年3月:実施報告書作成、学会発表、論文化
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Causes of Carryover |
標準的な介入プログラムの作成を行う予定であったが、企業の個別性が強いため標準的な方法を作成することが困難であると判断し、実施を中止した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
企業毎での効果検証に変更して実施するため、2017年度は各企業との連携、分析を集中的に実施する計画とした。
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