2016 Fiscal Year Research-status Report
疾患・薬毒物代謝関連遺伝子多型における法医学的試料からの研究
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16K19295
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
木村 かおり 島根大学, 医学部, 助教 (80574011)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子多型 / 疾患感受性 / 法医学的試料 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種疾患や薬毒物代謝に関与する遺伝子多型の研究は様々な生体試料から行われているが、法医学的試料を用いての網羅的スクリーニングは行われていないのが実情である。申請者らはこれまでに、多数の民族における疾患や薬毒物代謝に関わる遺伝子の多型解析を行い、個人差や民族差が遺伝子多型と有意に相関する現象を確認している。このような疾患・代謝における民族・個人差を規定する遺伝子マーカーを法医学的試料から見出し、疾患感受性遺伝子多型や中毒物質代謝遺伝子多型と死因との因果関係の解明を具体的な目的としている。 遺伝子マーカー(DNase I、DNase II、DNase1L2、DNase1L3、AS3MT、GST、ALAD、XRCC1)に対するモノクローナル抗体を作成し、遺伝子マーカーの定量を可能とするELISA法を確立中であり、遺伝子マーカーの各相違部に由来する培養細胞由来蛋白質を免疫学的手法によって比較解析している。各々のヒト遺伝子マーカーに対する特異抗体も作製する。 島根大学医学部法医学講座において取り扱った法医解剖・検案事例100件から臓器、体液を採取し、RNAを抽出、さらにcDNAを合成した。各遺伝子に特異的なcDNAを検索し、死因への依存性を確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、現在までに法医解剖・検案事例の臓器、体液を採取し、RNAを抽出、さらにcDNAを合成した。各遺伝子に特異的なcDNAを検索し、死因への依存性を確認しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き法医解剖・検案事例から臓器、体液を採取し、RNAを抽出、cDNAを合成する。各遺伝子に特異的なcDNAを検索し、死因への依存性を確認する。疾患や代謝の民族・個人差に関する遺伝子マーカーを発現しているマウス臓器由来細胞を培養し、遺伝子発現機構の解析および関連する転写因子を同定する方針である。現在までに確立した検出・定量法を適用し、遺伝子マーカーとその相関性を精査し、データを集積する。得られた実験データに基づき、再現性、安定性、個人差推定の精度などの観点から死因への寄与、また臓器重量等に関わる識別マーカーになりうるかを評価する。本研究成果に基づき、島根県警察に検案体からの血液試料採取を依頼し、遺伝子マーカーが捜査現場で活用できるものを選別する予定である。
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