2017 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚系の神経病理学的所見に基づいた高齢者の不慮の事故死における認知機能評価
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16K19297
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
古宮 淳一 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (60363280)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 嗅覚 / 法医学 / 不慮の死亡事故 / 神経病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫染色方法を検討し以下の手順に決定した。厚さ6μmの切片を作製した後、脱パラフィン、親水和、抗原賦活化を行い、自動染色装置ヒストステイナー36Aシステムを用いて染色を実施した。一次抗体の抗リン酸化α-synuclein抗体(pSyn#64, Wako)および抗タウ蛋白抗体(AT8,Innogenetics)はそれぞれ1000倍および200倍希釈し室温で60分間反応させた。二次抗体を30分反応させた後、DABで発色させ、ヘモトキシレンで対比染色を行った。 65歳以上の法医剖検15例の嗅球、前嗅核、梨状葉、嗅内野皮質、扁桃核、海馬について、HE染色、ガリアス染色、各免疫染色(抗リン酸化α-synuclein抗体および抗タウ蛋白抗体)を実施した。染色陽性反応の程度については過去の文献を参考にガリアス染色では0~3の4段階、各免疫染色では0~4の5段階でスコア化を行った。なお、対象15例(男8例、女7例)の平均年齢は78.4歳、死後経過時間は18時間から3日であった。嗅球および前嗅覚についての染色結果を検討したところ、左と右の前嗅核におけるタウスコアに有意な正の相関が認められ、また、左と右の前嗅核におけるα-synucleinスコアにも有意な正の相関が認められた。しかしながら、左嗅球と右嗅球の間における各染色スコアに正の相関は認められなかった。α-synucleinスコアの平均値は嗅球では2.1、前嗅核では0.7であり、有意差があった。また、前嗅核ではタウスコアの平均値(2.0)とα-synucleinスコアの平均値(0.7)の間に有意差が生じていた。認知症における各免疫染色のスコアは認知症でない症例のスコアよりも高い傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究実施計画「不慮の死亡事故の形態別にみた認知機能評価およびその意義」について検討中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
検討症例数の蓄積については対象となる法医剖検例の切り出し、薄切、染色をより計画的に実施することで対応する。HE染色、ガリアス染色および各免疫染色を実施した後は速やかに評価又はスコア化する。進捗状況について定期的に自ら確認しながら研究を継続する。
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