2017 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring of saliva specific miRNA markers.
Project/Area Number |
16K19302
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
多木 崇 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70408475)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 体液識別 / miRNA / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医学ではmiRNA発現パターンを利用した、体液判定を目指した研究が始まっており、血液、精液に関しては特異的miRNAマーカーが見出されている。唾液はしばしば犯罪現場等に残され、有効な体液判定マーカーの発見が待たれていたが、唾液特異的なmiRNAは報告されていなかった。そこで本研究では唾液から唾液エクソソームを得て、唾液とmiRNA発現パターンを比較し、唾液マーカーとなりうるmiRNAが存在するか調べることを目的とした。 8名の健常人から得た数mlの唾液を遠心分離することによって唾液エクソソームを得た。唾液、唾液エクソソームからtotal RNAを抽出し、逆転写反応によりcDNAを得た。8名分の等量由来の唾液を混合し、PCRでmiRNAを増幅した後、1008種類のmiRNAの発現量をリアルタイムPCRにより測定した。その結果、唾液エクソソームでは748種類、唾液では955種類のmiRNAを定量することができ、唾液エクソソームと唾液で発現量が10倍以上異なっていたmiRNAが85種類見つかった。唾液エクソソームと唾液で発現量の差が大きかったmiRNAに関して8名の個別サンプルを用い、リアルタイムPCRで発現量を測定したところ、発現量差に大きな個人間のばらつきが観察された。 本研究により、唾液エクソソームと唾液で発現量の異なるmiRNAの存在が示唆されたが、エクソソーム分泌量の多い唾液腺に存在する細胞と、その他の上皮細胞等でmiRNA発現プロファイルが異なっている、或いは特定のmiRNA種がエクソソームに選択的に内包され分泌される可能性が考えられる。本研究で得られた唾液、唾液エクソソーム中のmiRNA存在量は個人間のばらつきが大きかったため、単独のmiRNA存在量から唾液を識別するのは難しいと考えられる。複数のmiRNA存在量から唾液を識別が可能か今後調べていく必要がある。
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