2016 Fiscal Year Research-status Report
血液循環停止に起因する組織中の生理活性物質量の経時変化と法医診断への応用
Project/Area Number |
16K19303
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
齊藤 高志 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40764981)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 脂肪 / 間葉系幹細胞 / 死後経過時間 / 法医診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は死後、血流循環停止に起因する生理活性物質量の経時変化を測定し、法医診断に応用することを目的とする。具体的には安楽死させたマウスを所定時間存置し、所定時間経過後様々な組織、臓器を採取し、グルコース、乳酸などの生理活性物質量を定量することにより死後経過時間と相関する生理活性物質を探索する。 1.マウス死体を4℃で存置したところ、ヒト遺体と比較して腐敗の進行が肉眼的に著しく早い事がわかった。その中でも皮下脂肪組織は腐敗の進行が緩やかであることが肉眼的に認められたが当初予定していた動物実験の継続は困難であると判断した。 2.法医解剖時にヒトの腋窩脂肪組織を (10-40g) 採取した。得られた脂肪組織に酵素処理を加え、単離した細胞を培養したところ、遺体の保存状態が良好な場合、死後7日経過後でも線維芽細胞様細胞の接着培養が可能であった。培養によって増殖した細胞をフローサイトメトリーで評価したところ、この線維芽細胞様細胞は脂肪由来間葉系幹細胞 (ASC) を多く含むことがわかった。走査型電子顕微鏡を用いて脂肪組織観察の結果、組織融解が進んだ組織からは接着培養が可能な細胞がないことがわかった。脂肪組織の免疫組織化学的染色を行ったところ、CD31陰性、CD34陽性、CD45陰性の細胞が含まれる組織の場合、脂肪由来間葉系幹細胞の培養が可能であることが分かった。 今後の研究は、脂肪由来間葉系幹細胞を法医診断に利用する評価系を探索する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は研究計画の見直しが必要ではあったが、概ね順調に研究は進行した。死後、体内に生存する幹細胞に関して先行する報告は数報あるが、それらと比較し、より長期間体内で生存する幹細胞を発見することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度に得られた知見を基に、計画を適宜再考しながら実験を進め、新しい法医診断法の確立に貢献したい。
|
Causes of Carryover |
旅費と動物実験に予定していた研究費が不要になった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、実験試薬、消耗品、及び論文投稿費に使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)