2017 Fiscal Year Annual Research Report
Changes with the time of the amount of physiologically active substance in the tissue: potential application to forensic diagnosis
Project/Area Number |
16K19303
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
齊藤 高志 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40764981)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脂肪由来間葉系幹細胞 / 脂肪組織 / 休眠状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、ヒトの遺体から採取した腋窩脂肪組織に酵素処理を加え、脂肪細胞以外の細胞単離をすることで線維芽細胞様細胞が培養可能であることを確認した。また、脂肪組織の免疫組織化学的染色を行ったところ、この線維芽細胞様細胞はCD31陰性、CD34陽性、CD45陰性の脂肪由来間葉系幹細胞 (ASC) であり、生体組織内のASCと同じく血管周囲に局在することがわかった。このASCは既報の他の幹細胞と比較し、長期間遺体内で生存していた。 血管周囲に局在するCD34陽性ASCは、Ki67陰性であった。すなわち、ASCは休眠状態 (G0期) になることで比較的長期間、遺体腋窩脂肪組織中で生存可能であることが確認された。培養細胞の表面抗原の発現量が死因や死後経過時間によって異なれば、その発現量が法医診断に応用できるのではないかと仮説をたてた。次に、培養細胞の抗CD13、31、34、45、90、105、または146抗体の発現量を評価した。培養細胞はCD31、45陰性、およびCD13、90陽性のASCであった。また、CD34、105、および146の発現量には個体差が認められた。 本研究はASCが遺体中で休眠状態になることで比較的長期間生存可能であること、および培養細胞の表面抗原の発現量に個体差があることがわかった。研究成果は学術誌に投稿中である。上記の結果より、本研究は、引き続き検体数を増やすことにより培養細胞が死因究明や死後経過時間の推定といった法医診断や再生医療アプローチの発展性を含め、非常に有意義であるといえる。
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