2016 Fiscal Year Research-status Report
発熱疾患鑑別 好中球表面抗原CD64・CD35・CD49d測定の有用性
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16K19309
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
臼井 太朗 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 非常勤講師 (10585251)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発熱疾患 / 好中球細胞表面マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
発熱は一般内科外来において患者が訴える最も多い症状の1つである。発熱と同時に食欲不振や倦怠感、筋肉痛、関節痛、頭痛など不快な症状を伴うことが多く、さらに発熱が1週間以上続く場合は生活や仕事に支障が生じ、精査のために多くの血液検査や画像診断、さらには入院精査が必要となり、大きな社会的・経済的問題の1つとなっており、発熱患者の鑑別診断は、その原因が患者によって多種多様で、時に診断に時間と労力を要するのが現状である。 本研究では、発熱原因の3大疾患である感染症・膠原病・悪性腫瘍を迅速に鑑別するマーカーとして、これまで発熱疾患では十分な検討がなされておらず、短時間で測定可能な白血球の各種細胞表面マーカーを測定することにより、新規指標となることを実証し、臨床現場で応用することを目指すことが目的である。 発熱患者を対象とした研究であるため、本研究を本学の倫理審査委員会にあげ、平成27年10月7日に承認を得た。フローサイトメトリーはBD FACS(造血幹細胞移植システムorフローサイトメーターマルチガスインキュベーターを使用し、健常人における好中球、単球、リンパ球でCD64、CD35の発現パターンを検討した。 また発熱疾患にかかわる新たなマーカーを検出する目的で、感染症、膠原病などの患者で血中の白血球からmRNAを採取し、マイクロアレイで特徴的な遺伝子発現のパターンを解明することを考え、この目的で健常者5名から白血球のmRNAを採取している。これとは別にマウス骨髄、脾臓を用いた免疫染色を行い、これらとは別に新たな細胞表面抗原の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予期せぬフローサイトメトリーの故障があった。また発熱患者から同意を取ろうとして、失敗したこともあった。
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Strategy for Future Research Activity |
①発熱患者の症例数を増やす。発熱は急性期の疾患であり、しばしば時間外の入院や、重篤な場合があるため、少人数でその対応に追われることが多い。そのため治療開始前に本研究の同意を取ることや、実際にフローサイトメトリーを行うまで、人手が回らないのが現状である。今後主治医の負担をできるだけ減らして同意を取りやすくする、フローサイトメトリーが行える者を増やすなどの工夫が必要であり、今後行っていく予定である。 ②発熱患者の白血球のmRNAによるマイクロアレイは、新たな発熱疾患の診断のための好中球のフローサイトメトリーのマーカー、あるいはサイトカインを見出すのが第1の目的である。その上にバイオインフォマティックスの手法を用いて、発現遺伝子間の遺伝子発現ネットワークを推定し、遺伝子群の動き全体を網羅的に解析することにより、疾患特異性を推定し、これを診断に応用するという検討を進めている。
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Causes of Carryover |
発熱患者を用いた検討をおこなうため。基礎的な検討は終わっているため、こちらにかかる費用は少ないと思われる。一方で白血球のmRNAのマイクロアレイを用いた研究も開始するが、こちらは1例あたり6万円で、10名程で行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発熱症例の好中球抗原のフローサイトメトリーによる解析、白血球mRNAのマイクロアレイを行う。
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