2017 Fiscal Year Research-status Report
猪苓湯が出血性膀胱炎に作用する分子生物学的機構の解明
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16K19311
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川島 希 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30772264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢方医学 / 猪苓湯 / 小児血液・悪性腫瘍 / 造血細胞移植 / 出血性膀胱炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血細胞移植後BKウイルス・アデノウイルス出血性膀胱炎やイホスファミドなどアルキル化剤誘発性出血性膀胱炎に対して、猪苓湯エキス製剤が止血までの期間短縮に有効であるという単施設後方視的臨床研究の成果を報告したが、本研究を根拠に国内複数他施設においても検証研究がされており、出血性膀胱炎に対する猪苓湯の止血効果が検証されつつある。また国際的には、世界保健機関における伝統医学戦略(2014-2023年)の採択や国際疾病分類(ICD-11)での東アジア伝統医学病態分類の採用などで伝統医学が注目を受ける機運のなか、本研究は造血細胞移植と伝統医学を組み合わせた類例の極めて少ない研究のため、本研究代表者は海外国際学会に招聘され(4th International Symposium for Japanese Kampo Medicine, Berlin 2017; 14th Annual Conference of the Society for Integrative Oncology, Chicago 2017; 1st International Traditional and Complementary Medicine Congress, Istanbul 2018)、本邦医療制度における伝統医学の特異な立場とその有効性の広報に役割を果たした。 ヒト臨床研究では猪苓湯エキス製剤の有効例では膀胱周囲結合組織の炎症所見は改善するが膀胱壁肥厚は自体は残存する場合が多いことが見出された。この治療効果の機序を解明するためにシクロホスファミド誘発性マウス出血性膀胱炎モデルを作成した。シクロホスファミド投与で出血性膀胱炎モデルマウスに生じる泌尿器系の病理組織学的変化が、猪苓湯をこのモデルに投与することでどのように変化するのか検討中である。またヒト臨床研究で有効性が認められたイホスファミド誘発性出血性膀胱炎に対してもモデル動物を作成して猪苓湯の止血効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薬剤誘発性出血性膀胱炎モデル動物を利用して、それに対する漢方エキス製剤の治療が与える病理組織学的影響について現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
出血性膀胱炎モデルマウスに対する猪苓湯エキス製剤による治療モデルについて病理組織学的検討を行う。猪苓湯の主たる効果をもたらす生薬あるいは複数の生薬が同定できた場合、更にその成分を分析同定する。
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Causes of Carryover |
当初計画ではシクロホスファミド誘発マウス出血性膀胱炎に対し漢方薬による治療効果を判定する予定であったが、研究代表者が出血性膀胱炎の漢方薬治療症例を増やしたところ臨床上問題となるのはイホスファミド誘発性出血性膀胱炎でありこれに漢方治療が有効であることが判明した。このモデル動物を作成するのに年度を越え6か月必要とする見込みのため。 また出血性膀胱炎モデル動物に対する猪苓湯エキスによる改善モデルの病理組織学的検討が必要であるため。
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Research Products
(11 results)