2017 Fiscal Year Research-status Report
ケトン体増加がPGC1α-Ucp1転写制御により加齢性代謝不全に与える影響の検討
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16K19314
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
香川 正太 第一薬科大学, 薬学部, 講師 (30463201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケトン体 / 加齢 / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケトン食とコントロール食を30日間、老化促進マウスSAMP8(20週齢)および正常老化マウスSAMR1(20週齢)に摂餌させ(SAMP8-ケトン食、SAMR1-ケトン食、SAMP8-コントロール食およびSAMR1-コントロール食の4群)、3日おきに血中ケトン体濃度、血糖値ならびに体重を測定した。 摂餌量はSAMP8-コントロール食群と比較して、SAMP8-ケトン食群において低値を示していたため、摂餌量の影響は否定できないが、体重はSAMP8-ケトン食群とSAMR1-ケトン食群で低値であった。血中ケトン体は、摂餌30日まで各ケトン食摂餌群で高値を示し続けた。血糖値は、摂餌18日目までSAMP8-コントロール食が最も高値であったが(随時血糖値170mg/dL程度)、18日以降、4群比較して、随時血糖値120mg/dL前後を保つようになった。一方で、SAMP8-ケトン食群は摂餌30日を通して、随時血糖値は120mg/dL前後を保っていた。 経口ブドウ糖負荷試験を実施したところ、SAMP8群でもSAMR1群でも、ケトン食群で血糖値の低下が認められ、その低下の度合いはSAMP8群で顕著であった。 摂餌量がどこまで影響を与えるかは計り知れないが、ケトン食群の血中ケトン体濃度は高値を保ち続けていたことから、少なくとも、高値であったSAMP8-コントロール食群の随時血糖値がSAMP8-ケトン食群で低値を示したことや経口ブドウ糖負荷試験の結果は、血中ケトン体の影響が寄与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、実験系が確立し、少なくとも血中ケトン体上昇が糖代謝に与える影響に関しては、ある程度のデータを得ることができたが、肝要なUcp1やPGC1αといったエネルギー代謝系に与える影響を検討することができていない。それには、生化学的、分子生物学的実験系が十分に立ち上げられていなかったことが理由として挙げられる。来年度は、実験系を立ち上げると同時に、エネルギー代謝に重要な遺伝子発現をまず、精査することが必要と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ケトン食またはコントロール食を摂餌したSAMP8およびSAMR1マウスのエネルギー代謝に重要な肝、骨格筋、皮下脂肪、内臓白色脂肪、褐色脂肪は既に採取しており、超低温にて保存している。まず、エネルギー代謝に重要である褐色脂肪に関して、テーマに掲げたPGC1α(Ppargc1a)およびUcp1の遺伝子発現量の定量に関して、リアルタイムPCRを利用した実験を進めていく予定である。また、皮下脂肪、内臓白色脂肪、褐色脂肪に関しては、脂質代謝に重要な遺伝子発現を定量することで、脂肪利用がエネルギー代謝にどの程度寄与しているか、検討していく予定である。
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