2017 Fiscal Year Research-status Report
長期漢方薬投与における意欲的行動評価系の確立とアパシーに対する漢方薬の有効性評価
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16K19321
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱口 卓也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70770684)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 意欲 / 漢方薬 / 抑肝散加陳皮半夏 / オペラント / レバー押し / キノリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は「漢方薬投与における意欲的行動評価系」を確立し,漢方薬介入による意欲的行動の変化を6ヶ月以上にわたる長期間評価することに成功した。さらに,野生型マウスの普通餌群と抑肝散加陳皮半夏群とに「漢方薬投与における意欲的行動評価系」を用い,抑肝散加陳皮半夏は野生型マウスに対し意欲増加効果を示さない事を明らかにした。 平成29年度は,まず昨年の実験データ解析を行い,抑肝散加陳皮半夏が食欲を増加させることなく有意に野生型マウスの体重を増加させたことを明らかにした。この結果は非常に興味深いものであり論文報告を行った(Hamaguchi T et al., Nagoya J Med Sci. 2017; 79: 351-362)。アルツハイマー型認知症の周辺症状に抑肝散加陳皮半夏が処方されることが臨床ではあるが,例えばアルツハイマー型認知症でみられる体重減少に抑肝散加陳皮半夏が効果があるとすると,今後の治療戦略に新たな提案ができる可能性があると考えられた。この抑肝散加陳皮半夏の体重増加効果は今後の新たな研究課題としてそのメカニズムを解明していきたい。 次に,抑肝散加陳皮半夏と同様の研究を抑肝散においても行い,抑肝散は野生型マウスに対し意欲増加効果を示さないこと,食欲を増加させることなく有意に体重を増加させることを明らかにした。 最後に意欲の低下した疾患モデルマウスへの漢方薬介入であるが,昨年,疾患モデルマウスの代替案として腹外側線条体神経細胞のキノリン酸による破壊モデルを提案した。キノリン酸を両側の腹外側線条体に注入術後,「漢方薬投与における意欲的行動評価系」を用いて意欲を評価した。その結果,リン酸緩衝生理食塩水を注入した対照群と比較して有意差は出なかったものの意欲が低下する傾向が見られた。注入部位を変えて有意な意欲低下を示すモデルマウス確立を目指すとともに漢方薬介入を行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
意欲の低下した疾患モデルマウスへの漢方薬介入研究に関して,疾患モデルマウスとして腹外側線条体神経細胞のキノリン酸による破壊モデルを提案した。キノリン酸を両側の腹外側線条体に注入術後,「漢方薬投与における意欲的行動評価系」を用いて意欲を評価し,対照群と比較して有意差はみられなかったものの意欲が低下する傾向が見られた。疾患モデルマウスとして漢方薬介入を行うには十分ではなく,注入部位を変えて有意な意欲低下を示すモデルマウス確立を目指す必要がある。そのため時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は意欲の低下した疾患モデルマウスとして腹外側線条体神経細胞のキノリン酸による破壊モデルを確立する。さらに抑肝散と抑肝散加陳皮半夏による漢方薬介入を行い,「漢方薬投与における意欲的行動評価系」を用いて意欲が増加するかどうかを評価する。
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Causes of Carryover |
支払い残金不足を避けるために残金が生じた状況である。
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