2017 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザの診断スコアリングシステム構築と迅速診断キットの適切な使用法の提言
Project/Area Number |
16K19322
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
種井 実佳 順天堂大学, 医学部, 助手 (60749597)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 診断 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ様症状を呈し順天堂医院総合診療科を受診した患者の中で、30名(男性13名、女性17名、平均40.0歳±2.90)を対象とした。対象者に問診、身体診察、鼻腔拭い液を用いたイムノクロマト法を用いたインフルエンザ迅速診断キットおよびgold standardとしてRT-PCR法を施行した。年齢、性別、体温、発症から検査までの時間、ワクチン接種歴、インフルエンザ患者への接触歴、過去のインフルエンザ罹患の既往および症状(咽頭痛・咽頭発赤、筋肉痛・関節痛、頭痛、震えのない悪寒、震えのある悪寒、咳嗽、喀痰、鼻汁、鼻閉)につき患者本人に規定の用紙に記入してもらい情報を収集した。患者を担当した医師がキット施行前にインフルエンザを疑うか、疑わないかについて記録を集め、以上の結果をインフルエンザ患者と非インフルエンザ患者間で比較を行った。 体温やsick contact、症状の比較では咳嗽のみインフルエンザ患者で有意に多かった(p=0.007)。前回研究で差が示唆された悪寒は震えのない悪寒(p=0.107)、震えのある悪寒(p=0.659)、悪寒全体(p=0.136)と有意な差は認められなかった。キットの診断特性は感度60.0%、特異度100%、K=0.60、p=0.0002、医師の診断特性は感度 93.3%、特異度 60%、K=0.5、p=0.0010であった。 咳嗽が有意な結果であったが、前回の研究では咳嗽では有意差を認めず、悪寒症状も明確な差は認められず、インフルエンザ様症状を呈する患者の中で、インフルエンザ患者と非インフルエンザ患者の間で症状の差は明確なものはないと考えられた。医師の診断特性で特異度が低いことも併せると、症状からインフルエンザを診断確定することは難しいが、疑わしい症例に対して特異度の高いキットをうまく利用することが正確なインフルエンザ診断に結び付くと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リクルートする患者数が院内倫理委員会の規定(職員は含めない)により、予想よりも大幅に減少したため、対象者数が当初の予定よりも減った。対象者の解析により、インフルエンザ患者と非インフルエンザ患者での差は先行研究以上に有意な症状差は得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなるリクルートは難しいと見込まれるため、現在の対象者で解析を続ける。
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Causes of Carryover |
対象者のリクルート、解析はほぼ終了している。論文作成、論文投稿を今後行う予定である。
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Research Products
(1 results)