2017 Fiscal Year Research-status Report
Roles of prostaglandin I2 in gastrointestinal functioning in irritable bowel syndrome
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16K19326
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
粂井 志麻 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (00548969)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究では、IP作動薬がストレス負荷により生じる内臓痛覚過敏を是正することを明らかにした。本年度は、ストレス負荷の中でも、早期母仔分離(maternal separation: MS)モデルに着目し実験を行った。生後2日目~14日目に至るまで毎日3時間母親から分離した仔(MS群)とその対照群(non handled 群:NH群)の糞便中の腸内細菌をTerminal Restriction Fragment Length Polymorphism法にて比較した。 MS群では、NH群に比べ、Clostridium cluster XⅧ群の割合が顕著に上昇していた。 次に、MS群にIP作動薬を投与するとClostridium clusterXⅧが減少し、Clostridium cluster XI、Clostridium sbuclusterXⅣaが占める割合が有意に上昇した。このことから、IP作動薬によりMS群の腸内細菌を変化させることを明らかとした。 また、大腸粘膜におけるプロスタグランジンI2産生に関与する遺伝子(cyclooxygenase;cox-1,COX-2,PGI2 synthase,IP)や当初変化すると予想していた炎症や腸内細菌の恒常性の維持にかかわるインフラマソーム関連遺伝子(NLRP3、NLRP6)などの発現変化は、NH群NS、NH群BPS、MS群NS、MS群BPSの4群においていずれも有意な差を認めなかった。 MSモデルは、うつ病モデルとしても知られている。MS群では、高架式十字路迷路試験や強制水泳試験で不安や鬱様行動を認めたが、IP作動薬の投与によりこれらの行動が改善する傾向も認め興味深い知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年は、モデルの作成に時間を要した。そのため、メカニズム解明まで実験を進めることができず、1年間研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
この2年間でIP作動薬は、1,ストレス負荷により生じる内臓痛覚閾値の変化を是正すること、2,糞便中の常在細菌が著しく変化させることをあきらかにした。今後は、既に得られているサンプルの解析(糞便中の短鎖脂肪酸の定量、大腸粘膜、血液中のサイトカインの定量、消化管組織の組織学的評価など)を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験モデルの確立に時間を要したため、サンプルの解析まで進めることができなかった。残り1年で既に得られているサンプルの解析を行う。
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